はじめに～～
今回の内容は 25年間 国税調査官としてご活躍されていた
前原税理士のご経験に基づいています。
「 税務調査や税務署について少しでも理解して頂いて
国民の義務である納税を正しく行って頂くと共に
税務調査を受ける際の予備知識になれば、非常にありがたいです。」
～～元国税調査官前原税理士より
♦ 税務調査の基礎知識
（若手経理マンと元国税調査官の対話）
① 事業者にとって税務調査は宿命
若：「税務調査がどういうものか教えていただけますか？」
税：「個人でも法人でも事業を行っている者にとって、税務調査を受けるのは宿命です。」
若：「えっつ 税務調査は宿命ですか？」
税：「もちろんです。事業者は申告制度によっ自主申告すると共に納税をおこなっています。
その制度の支えになっているのが税務調査です。」
若：「そうなんですか。」
税：「事業者である場合は、税務調査の対象になる可能性があることを肝に銘じておいてください。
また、事業者でない方でも相続税や贈与税などで税務調査を受ける可能性があります。」
② 税務署は親切な役所
若：「税務署のことですが、非常に嫌なイメージがありますが どんな役所ですか。」
税：「とても親切な役所です。応接は非常に丁寧で親切です。
税務署員は接遇などの研修を定期的に受けており
申請・届出関係で来所した方や税法関係の質問で来所した方に対して親切かつ丁寧に対応します。
電話対応についても、いつも気を付けています。」
若：「そうなんですか！これからは税務署と安心して付き合えそうです。」
税：「もちろん脱法行為を行っている者については毅然とした態度で接しますが（笑）」
③ 税務調査での調査官への昼食準備はご法度
若：「税務調査当日の昼食は調査官の分も用意すべきでしょうか。」
税：「答えは、ノーです。昼食は用意すべきではありません。」
若：「そうなんですか。」
税：「調査官は税務調査先で昼食の提供を受けてはならないと税務署の上司から厳しく教えられています。
また、調査当日の昼休みは双方ともフリーになり
午前中に調査官がどこをポイントとして調査展開しているかを確認するなど
調査に備えた方が善いと思います。」
④ 突然、税務調査にやって来るケースはあるのか？
若：「事前通知なしで、突然 税務調査にやってくるケースはあるのですか。」
税：「あります！原則は事前通知を行うのですが、次のケースは事前通知なしで税務調査が行われます。」
イ：納税者が重加税の対象となる脱税（仮想隠ぺい）行為を行っていると想定されるケース
ロ：飲食業や小売業など、不特定多数の者と現金決済で商売を行っている納税者に対するケース
若：「事前通知なしで調査官が税務調査にやって来た場合はどのように対応したらよろしいでしょうか。」
税：「まず気持ちを落ち着かせましょう。
調査官に”何故、事前通知なしで税務調査を行うのか”を聞くようにしてください。
次に、税理士と顧問契約している場合は必ず税理士に連絡を行ってください。
そして、どのように税務調査を受けるのか相談してください。」
若：「税理士がいない場合はどのようにしたら良いのでしょうか。」
税：「もし、仕事の都合で税務調査の日程を延期してほしい場合は
調査官に理由を説明すると共に丁寧にお願いしてください。
次に、具体的な調査内容について、調査官から確認しておくべきです。
一番大事な事は 調査官の調査方法や指摘事項に納得できない場合は
納得するまで調査官に質問することです。
安易に妥協して、後で後悔するような事は避けてください。」
若：「よくわかりました。冷静に対処することが大事ですね。」
⑤ 調査官とは、税務調査で一期一会
若：「国税という場所は転勤が多い場所だと聞いたことがありますが。」
税：「その通りです。多くの職員は３～４年で転勤ですので、
同じ調査先に２度調査に行くことは滅多にありません。
したがって、調査官との付き合いは一期一会だと言えます。
税務調査中に調査官に大いに意見を主張したとしても次の調査には影響しませんので、
遠慮は禁物です。」
税：「なお お土産も必要ありません。」
若：「もっとお話をお伺いしたいのですが、
最後に 今後、税務調査を受ける会社にアドバイスを教えてください。」
税：「会社にとって税務調査を受けるのは宿命ですが
真面目に正確な経理処理を行っていれば、税務調査を恐れる必要はありません。
経理事務の定期検診を受診しているという前向きな発想で税務調査を受けてください。」
若：「よくわかりました。日頃 適正申告を心掛けるのが大事ですね。ありがとうございました。」
税務調査雑学②に続く・・・
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【元税務調査官前原税理士監修ブログ】
前原 貴之（まえはら たかゆき）
1967年生まれ。税理士。主に大阪市内及び兵庫県内の税務署法人課税部門で600社以上の法人の税務調査を担当し、印紙税調査等の広域指導も担当。2010年7月に姫路税務署法人課税部門の上席国税調査官を最後に退官し、民間企業での経理事務の経験するとともに税理士法人で税理士業務を経験後、R＆Cグループに入社。税理士元国税調査官の経歴を活かしながら税理士として活動するとともに、助成金、労務に強い社労士と連携して、ワンストップサービスに心掛けている。
