経営力向上計画とは?
経営力向上計画とは、
人材育成・コスト管理等のマネジメントの向上や、設備投資等により、事業者の生産性を向上させるための計画です。
これにより、
➀ 固定資産税の軽減措置を受けれる。
➁ 法人税・所得税の優遇(即時償却・税額控除)が受けれる。
➂ 信用保証協会による信用保証枠の拡大及び低利優遇がある(経営力強化保証)。
➃ 政府系金融機関から低利融資が受けれる。
➄ 補助金の審査で加点される。
といった特典を受けられます。
固定資産税の軽減
中小事業者等が平成31年3月1日までに、認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を新規取得した場合、
固定資産税が3年間、2分の1になります。
※ 中小事業者等とは
・資本金(または出資金)が1億円以下の法人
・資本金(または出資金)がない法人は、常時使用する従業員数が1,000名以下
・常時使用する従業員数が1,000名以下
※ 一定の設備
・一定の期間内に販売されたモデルであること(最新でなくてもOK・中古はNG・工業会の証明書が必要)
平成29年3月31日に終了した生産性向上設備投資促進税制と異なり、最新モデル要件はありません。
・経営力の向上に資するものの指標(生産効率・エネルギー効率・精度など)が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備(工業会の証明書が必要)
設備の種類 | 用途または細目 | 最低価額
(1台1基または一の取得価額) |
販売開始時期 |
機械装置 | 全て | 160万円以上 | 10年以内 |
工具(※1) | 測定工具及び検査工具 | 30万円以上 | 5年以内 |
器具設備(※1) | 全て | 30万円以上 | 6年以内 |
建物付属設備(※1・2) | 全て | 30万円以上 | 14年以内 |
※1 工具・器具備品・建物附属設備については、一部の地域において対象業種に限定があります。
設備の所在地が、埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・京都・大阪の場合、対象業種に制限があります。
その他の都道府県は、全業種OKです。
※2 償却資産として課税されるものに限ります。
※ 経営力向上計画の認定を受けた後に、設備を取得するのが原則ですが、設備取得後に経営力向上計画を申請する場合は、
設備取得日から60日以内に経営力向上計画が受理される必要があります。
また、固定資産税の賦課期日が毎年1月1日であることから、設備を取得した年の12月31日までに認定を受けられなかった場合、
減税の期間が2年になります。
法人税・所得税の優遇(中小企業経営強化税制(即時償却・税額控除)
青色申告書を提出する中小企業者等が、平成31年3月31日までに、認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得等して、指定事業の用に供した場合、
即時償却または取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除
を選択適用することができます。
(注1)税額控除額は、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制の税額控除の合計で、
その事業年度の法人税額又は所得税額の20%までが上限となります。
なお、税額控除の限度額を超える金額については、翌事業年度に繰り越すことができます。
(注2)特別償却は、限度額まで償却費を計上しなかった場合、その償却不足額をよく事業年度に繰り越すことができます。
※ 中小事業者等とは
・資本金(または出資金)が1億円以下の法人
・資本金(または出資金)がない法人は、常時使用する従業員数が1,000名以下
・常時使用する従業員数が1,000名以下
・協同組合等
ただし、資本金が1億円以下の法人でも、
ア 大規模法人から2分の1以上の出資を受ける法人
イ 2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人
は中小企業者とはなりません。
※ 一定の設備とは
類型 | 生産性向上設備(A類型) | 収益力強化設備(B類型) |
要件 | 生産性が旧モデル比年平均1%以上向上する設備 | 投資利益性が年平均5%以上の投資計画に係る設備
投資利益率とは 分子に 「営業利益+減価償却費」の増加額(設備取得年度の翌年以降3年度の平均) |
確認者 | 工業会等 | 経済産業局(その他、公認会計士または税理士の事前確認が必要です) |
対象設備 | 対象設備(最低価額/販売開始時期)
機械装置(160万円以上/10年以内) 測定工具及び検査工具(30万円以上/5年以内) 器具備品(30万円以上/6年以内) 建物附属設備(60万円以上/14年以内) ソフトウェア(情報収集機能及び分析・表示機能を有するもの・70万円以上/5年以内) |
対象設備(最低価額)
機械装置(160万円以上) 測定工具及び検査工具(30万円以上) 器具備品(30万円以上) 建物附属設備(60万円以上) ソフトウェア(複写して販売するための原本、開発研究用、サーバーOSのうち一定のもの等は除く・70万円以上) |
その他要件 | 生産等設備を構成するものであること(事務用器具備品、本店、寄宿舎等に係る建物付属設備、福利厚生施設に係るもの等は該当しません。)
国内への投資であること 中古資産・貸付資産でないこと等 |
生産等設備を構成するものであること(事務用器具備品、本店、寄宿舎等に係る建物付属設備、福利厚生施設に係るもの等は該当しません。)
国内への投資であること 中古資産・貸付資産でないこと等 |
A類型もB類型も、設備投資額を1年で償却か、10%の税額控除を得られるため、極めて節税効果が高いです。
(例1)年間1800万円の利益のある法人が、本来15年の償却期間の1000万円の設備投資を行い、1年償却を選択した場合、
本来 :1800万円-1000÷15=1734万円の利益
⇓
本税制を利用:1800万円-1000万円=800万円の利益
になります。
また、B類型だと、生産性を上げるという要件がなくなるため、工業会等で証明書を取得しにくい建物附属設備等が広く適用されます。
(例2)年間1000万円の法人税を納める法人が、2000万円の設備投資を行い、10%の税額控除を利用した場合
本来 :納税額1000万円
本税制を利用 :納税額800万円
=200万円の節税
が可能です。
なお、B類型を利用するためには、公認会計士または税理士が事前確認を行う必要があります。
税理士法人Real&Cloudでは、スポットでも事前確認書を発行を行っています。
・信用保証協会の別枠保証・金利優遇(経営力強化保証)
経営力向上計画の認定を受けた中小企業者を対象に、保証協会の
ア 別枠保証(通常枠のほかに、普通保証:2億円・無担保保証:8000万円・小口保証:1250万円の枠を設定)
イ 低利優遇(通常、1区分低い料率を適用)
の制度融資を受けられます。
なお、期中は、事業計画の進捗を四半期ごとに報告することが必要です。
・政府系金融機関による金利優遇・特例金融支援
ア 日本政策金融広告による低利融資
経営力向上計画の二院亭を受けた事業者の行う設備投資について、基準利率から
0.9%
引き下げられます(運転資金いついては、基準金利)。
イ 商工中金による低利融資
商工中金の独自の融資制度で、低利融資を受けることができます。
ウ 中小企業投資育成株式会社法の特例
通常の投資対象に該当しない、資本金額が3億円を超える株式会社も投資を受けることが可能になります。
エ 日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット
海外支店又は海外子会社が公庫の提携する海外金融機関から現地通貨建ての融資を受けえる倍に、公庫による債務保証を受けることができます。
保証限度:4億5000万円
融資期間:1~5年
オ 中小企業基盤整備機構による債務保証
資本金10億円以下または従業員数2000名以下の中堅企業(中小企業者は除きます)等は、最大25億円(保証割合:50%・最大50億円の借入)の債務保証を受けられます。
カ 食品流通構造改善促進機構による債務保証
民間金融機関から融資を受ける際に信用保証を受けられない場合や、巨額の資金調達が必要となる場合に、保証を受けられます。
補助金での加点
「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」等の補助金審査において、加点されます。
ただし、今後の同補助金の公募の有無・時期については、未定です。
税理士法人Real&cloud(大阪市(天王寺・あべのハルカス))では、税務相談を受け付けています。
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