1.総論
労働保険の成立について、行政からの指導があるにも関わらず、成立を行っていない事業主については、行政庁の職権による成立手続き、労働保険料の認定決定を行うこととなり、労働保険料を遡って徴収するほか、併せて追徴金を徴収することとなります。
また、事業主は故意または過失によって労災保険に係る保険関係成立届を提出していない期間中に労働災害が生じ、労災保険給付を行った場合、事業主から遡って労働保険料を徴収(合わせて追徴金を徴収)するほかに、労災保険給付に要した費用の全部または一部を徴収することになります。
2.各論
(1)労働保険料の遡及徴収と追徴金について
最大で2年間遡った労働保険料と追徴金(10%)
事例①
労働保険加入の指導があったにも関わらず加入をせず、労働災害が発生し、労災保険の給付を行った。
→故意として、保険給付の100%を徴収
遺族補償一時金の額(1万円(労働者の賃金日額)×1000日分)×100%
=10,000,000円
(2)労災保険の保険給付に要した費用について
故意または過失により、労災保険給付額の40%または100%
事例①
労働保険加入の指導を受けた事実はないものの、適用事業所となってから1年を経過している最中に労働災害が発生し、労災保険の給付を行った。
→重大な過失として、保険給付の40%を徴収
遺族補償一時金の額(1万円(労働者の賃金日額)×1000日分)×40%
=4,000,000円
3.まとめ
労働保険の加入は、労働者を1人でも雇用している事業主には加入手続きを行い、労働保険料を納付する義務があります。加入を怠れば、働く労働者を不安にさせるだけでなく、労働保険料の遡及納付、追徴金の納付等、負担を被るのは事業主になります。
また、労働保険には負担ばかりでなく、労働者の雇用の促進、人材教育、キャリアアップ等を図る事業主に対して一定の要件を満たせば支給される雇用保険からの「助成金」がございます。正しく労働保険の成立を行い、一定の取り組みをすれば、受給できるものになりますので、まだ加入をされて事業主様には速やかに加入の手続きを検討していただければと存じます。
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