平成31年税制改正大綱:ストックオプション税制の拡充
1.ストックオプション税制改正の概要
(1)
ストックオプション税制の適用対象者の範囲に「特定事業者」を加える。
ストックオプション税制とは、株式会社(又はその株式会社の子会社)の取締役等が、株主総会の付与決議に基づき締結された一定の要件が定められた付与契約により与えられた新株予約権等を行使して株式を取得した場合における経済的利益について、一定の要件の下で、所得税を課さないこととする(譲渡時まで課税を繰り延べる)制度である。
(2)
特例適用対象者
①取締役、執行役及び使用人
②①から権利を承継した相続人
③(改正により追加)特定事業者(※)
(※)特定事業者とは
中小企業等経営強化法に規定する認定新規中小企業者等(仮称)が新事業分野開拓計画(仮称)に従って活用する取締役及び使用人等以外の者(新事業分野開拓計画(仮称)の実施期間の開始の日から新株予約権の行使までの間、居住者である等一定の要件を満たす者に限る)をいう。
具体的には、一定の要件を満たす「社外の協力者」で「兼業・副業等の多様な働き方で活躍する国内外の高度・専門人材」を指し、例えばベンチャー企業の成長に貢献する業務を担うプログラマー・エンジニア、医師、弁護士などが想定されている。
2.適用時期
今後の中小企業等経営強化法の改正を前提とした措置のため未定である。
3.実務上の留意点
(1)
特定事業者の相続人については本特例の適用ができない。
(2)
特定事業者がこの特例を受けて取得した株式の譲渡等をするまでに国外転出する場合には、その国外転出の時に当該新株予約権の行使の日の価額による譲渡があったものとみなして所得税を課する。
4.今後の注目点
(1)
適用対象者の拡充のほか、本特例に係る年間の権利行使価格の限度額(現行 1,200万円)を引き上げるなどの見直しがされるかどうかが注目点である。
(2)
ストックオプションは、株式上場を目指すベンチャー企業のみならず、上場企業においても付与されるケースが少なくないが、平成31年度税制改正で検討されるストックオプション税制の拡充はあくまでも“ベンチャー支援税制”の一つとして位置付けられることになる。したがって、本改正はすべての企業を対象にするものではなく、基本的に「ベンチャー企業」が対象になる点、留意したい。本改正において「ベンチャー企業」がどのように定義されるのか、注目される。
5.ストックオプション税制については税理士への早めのご相談を
ストックオプション税制の対象者が拡大されますが、中小企業等経営強化法においてどのように規定されるか明確になっていません。手続きの煩雑さや認可のハードルをどのようにクリアするかなど課題が多く、今後の関連法令等の改正をフォローする必要があります。
場合によっては事業計画、納税および節税金額に大きな差が生じる可能性がありますので、税制の専門家である税理士への早めのご相談をお勧め致します。
税理士法人Real&cloud(大阪市(天王寺・あべのハルカス))では、税務相談を受け付けています。
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