(総論)
【海外への労働者派遣とその取扱い】
海外の事業所などで指揮命令を受けて派遣就業させることを目的とするもののうち、海外の法人または個人、日本国内の法人または個人の海外支店などにおいて派遣就業させることをいいます。派遣就業の場所が一時的に国外となる場合であったとしても、主に指揮命令を行う者が日本国内にいて、その業務が国内にある事業所の責任により行われているような、いわゆる「出張」は海外派遣に該当しません。
また、派遣元事業主は、派遣労働者を海外に所在する事業所その他の施設において就業させるための労働者派遣をしようとするときは、その旨を厚生労働大臣に届け出なければなりません。
(各論)
[事業主の講ずべき措置]
派遣元事業主は、海外派遣に係る労働者派遣契約の締結に際しては、労働者派遣契約の内容や派遣契約期間の制限の規定のほか、次にあげる派遣先が講ずべき措置等を定めた事項を書面に記載して、当該海外派遣に係る役務の提供を受ける者に対して、当該定めた事項に係る書面の交付若しくはファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信をすることにより通知しなければなりません(法第26条第3項)。
<派遣先の講ずべき措置の定め>
海外派遣の場合には、特に派遣先の講ずべき措置として次に掲げる事項を定めなくてはなりません(則第24条)。
1. 派遣先責任者を選任すること。
2. 派遣先管理台帳の作成、記載及び通知を行うこと。
3. 派遣労働者に関する労働者派遣契約の定めに反することのないように適切な措置を講ずること。
4. 派遣労働者の派遣先における就業に伴って生ずる苦情等について、派遣元事業主に通知し、その適切かつ迅速な処理を図ること。
5. 疾病、負傷等の場合における療養の実施その他派遣労働者の福祉の増進に係る必要な援助を行うこと。
6. その他派遣就業が適正に行われるため必要な措置を行うこと。
7. 派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日の通知及び離職した労働者についての労働者派遣の役務の受入れの禁止に関する通知を行うこと。
8. 派遣受入期間の制限を受ける業務について労働者派遣を行う場合には、同一の業務について継続して1年以上、派遣受入期間以内の期間、労働者派遣の役務の提供を受けた場合において、引き続き同一の業務に労働者を従事させるため、労働者を雇い入れようとするときの、当該派遣労働者の雇用に関する措置
9. 派遣受入期間の制限を受ける業務について労働者派遣を行う場合には、同一の業務について派遣受入期間を超えて、引き続き当該派遣労働者を使用しようとするときの、当該派遣労働者に対する労働契約の申込みに関する措置
10. 派遣受入期間の制限を受ける業務以外の業務について労働者派遣を行う場合には、同一の業務について3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けた場合において、当該業務に労働者を雇い入れようとするときの当該派遣労働者に対する労働契約の申込みに関する措置
[海外派遣に係る労働者派遣契約の締結の際の手続等]
派遣元事業主は、海外派遣に係る労働者派遣契約の締結に際し、上記ハの契約内容を当該海外派遣に係る派遣先に対して、書面の交付若しくはファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信をすることにより通知しなければなりません。(則第23条)。
[派遣先が当該労働者派遣契約の定めに反した場合]
派遣先が当該海外派遣に係る労働者派遣契約の定めに反した場合、当該契約について債務不履行となり、派遣元事業主は、その履行を派遣先に求めることができ、また、それを理由に労働者派遣契約を解除することができます。
(まとめ)
海外派遣に係る労働者派遣契約の締結に際し、所定の方法により派遣先の講ずべき措置等を定めなかった場合、派遣元事業主は、許可の取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項、法第21条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となります。社労士法人Real&Cloudでは労働者派遣事業についての手続き代行を行っています。ご相談等ございましたら、こちらまでお気軽にお問合せください。
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