労災保険は、個人で加入するものではありません。基本となるのが事業所です。加入の際にも、まずは事業所が労働保険の保険関係成立届を労働基準監督署に提出して、労災保険の加入手続きを行います。事業所が適用事業所となり、これによって労災保険に加入したことになります。
労災保険は事業所で賃金を支払うすべての労働者が対象となります。一人ずつの加入手続きを行うのではなく、年間の支払予定の賃金総額で保険料が概算で決定され支払うことになります。これによってその事業所で働くすべての従業員が加入したことになります
労災保険加入条件と事業規模
労災保険への加入は、従業員が一人でもいれば加入することが義務となります。つまり従業員を使っている事業所はすべて労災保険の適用事業所となります。
雇用保険では、加入に条件があり、一定の条件を満たしている従業員が対象となりますが、労災保険の方は条件がなく、たとえ1日でも賃金を支払った従業員がいれば適用事業所となり労災保険に加入しなければなりません。
社会保険の中でも、健康保険は事業所の規模などが条件に入っていますが、労災保険に関しては事業所の規模などは関係なく賃金を支払う従業員がいるのかどうか、ということが判断の基準です。従業員がパートやアルバイトだけであっても対象となります。
労災保険は賃金を支払うすべての従業員が対象となりますから、パートやアルバイトも対象となります。雇用保険は、従業員一人ずつ加入の手続を行うことになりますが、労災保険ではすべての従業員が対象です。一人ずつの加入手続きを行う必要はなく、適用事業所になれば自然にその事業所の従業員のすべてが加入することになります。
支払い賃金で保険料を算定するので、従業員の入れ替わりなどがあっても、その都度加入や喪失などの手続をとる必要もありません。
労災保険は、基本的に従業員のすべてが加入することになりますが、適用されない人もいます。それが次の通りとなります。
◆従業員が5人未満の個人経営の農業・水産業
◆個人経営の林業で常時使用の従業員がいない場合
◆国の直轄事業、国や地方の官公署
◆事業主や法人役員
◆事業主と同居する親族
加入は事業主の義務
労災保険への加入は、従業員のいる事業所では、事業主の義務です。パートやアルバイトでも、賃金を支払う従業員がいれば、必ず加入する必要があります。また新たに従業員を雇用することになった場合も、雇用した時点で適用事業所となりますから労災保険への加入の手続を行う必要があります。
労災保険は仕事中などのケガなどの保証を行うものですから、何かあった際には、事業主がその保証を行う必要があります。労災保険は、従業員の生活を守るためのものですが、事業主にとっても何らかの労働災害が起きた時に、その保証の手助けになる制度といえるでしょう。
労災保険への加入は義務ではありますが、事業主にとっても重要な役割を果たすものです。
総論
労働中にケガなどを負い、病院に行った場合、ケガを負ったときの状況などを確認されます。仕事中の事故である場合、健康保険は使用することができません。労災保険を使用することになります。
労災保険に未加入となっていた場合であっても、労働基準監督所で所定の手続を行って労災の認定を受けることができれば、労災保険が支給されます。しかし、これは従業員に対しての保証であり、事業主は労災保険の適用になった日にさかのぼって労働保険料が徴収されることになります。
また、事業主が故意に労災保険への加入を行っていないということが認められた場合には、労災保険の給付額の100%を徴収されることになります。重大な過失によって未加入となっていたことが認められた場合にも給付額の40%が徴収されることになります
社会保険労務士法人Real&Cloudでは、労災保険加入手続き及び加入後のあらゆる案件についてのご相談を行っております。事業の内容、規模に関わらず、こちらまでお気軽にご相談ください。