【はじめに】
団体交渉とは、労働組合が、使用者又は株式会社などの団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉することです。団交と呼ばれることもあります。
団体交渉においては、まず、労使間のコミュニケーションを円滑にするため、両者のパイプ役を確保したり窓口を明確にしたりする必要があり、さらに非組合員の範囲を明確にすることが大切です。
また、団体交渉の申入れ・事前手続や、交渉の対象事項において「不当労働行為」に該当することの無いように注意が必要です。
【組合員の範囲】
交渉の相手方となる組合員の範囲を明確にする必要があります。
労働組合法2条1号の管理職など、非組合員の範囲を明確にすることが重要です。
【団体交渉の進め方】
1 当事者・担当者・交渉事項の明確化
団体交渉の開始に当たっては、交渉の当事者、担当者、交渉事項を明確化しておく必要があります。通常は、労働組合が団体交渉申入書等で明らかにします。
2 交渉の日時、場所、時間の設定、出席者の制限
交渉の日時、場所、時間の設定、出席者については原則として交渉の当事者の合意により決定します。
使用者側には労働組合側の指定に無条件に従う義務はありませんが、使用者が交渉の日時、場所、時間の設定、出席者について固執している場合にそれに合理性がない場合は不当労働行為とされます(東京高等裁判所昭和62.9.8判決)。
3 団体交渉と前置手続との関係
企業の中には労働協約や労使慣行などにより団体交渉の開始前に労使協議手続きや苦情処理手続を減るように定められている場合があります。このような場合は、それらの手続が尽くされて初めて団体交渉開始義務が課せられることになります。
4 団体交渉の態様
団体交渉が社会的相当性を超えて暴行、脅迫、監禁等の態様に至った場合はその時点で団体交渉を打ち切ることができます。
また多人数に大衆交渉も拒否することができます。労働組合法で保障されている団体交渉とは統制のとれた交渉団の存在が条件となっているので、大衆団交については拒否することができます。少なくとも、多数の労働者が押しかけ、罵声を浴びせたり、つるし上げを行う団体交渉については拒否することも途中で交渉を打ち切ることもでき、暴力行為等をしないと約束するまで交渉をしないと会社側が交渉を拒否することもできます。