【争議行為とは】
争議行為とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が主張を貫徹することを目的として行う行為およびこれに対抗する行為であり、業務の正常な業務を阻害するものといわれています(労働関係調整法7条)。労働者の争議行為にはストライキ,ボイコット,ピケット,サボタージュ,残業拒否,休暇闘争,職場占拠などがあり,使用者の争議行為にはロックアウトがあります。
【労働組合の争議行為について】
使用者は、正当な争議行為によって被った損害については、労働組合又はその組合員に対し損害賠償を請求することはできませんし(労働組合法8条)、刑事責任を問うこともできません。
もっとも、争議行為として免責されるのは「正当な争議行為」であり、それを逸脱した場合には損害賠償等の問題が生じます。
【争議行為の正当性】
争議行為の正当性の判断については次の点に留意が必要です。
①争議行為の主体
争議行為の主体は団体交渉の主体となり得るものでなければならず、組合員の一部が組合員所定期間の承認を得ないで独自に行うストライキは原則として正当性が認められません。
②争議行為の目的
憲法28条は、団体交渉を機能させるための権利として争議権を保障しています。
このため、団体交渉上の目的事項から外れる事項については正当性は認められません。
例えば、政治ストについては正当性はないものとされています。
③争議行為の開始時期、手続による正当性
争議行為は開始時期や手順によって正当性を否定されることがあります。
例えば、団体交渉を経ない争議行為についてはケースによっては正当性を否定される可能性があります。
④争議行為の手段・態様による正当性
労務の完全又は不完全な不提供という消極的な態度にとどまる限りでは原則として正当性が認められます。
ピケッティング(ストライキを行っている労働者たちが、ストライキを維持・強化するために労働者、使用者側、または取引先等に、見張り、呼びかけ、説得などの働きかけを行う行為をいいます。)については、判例は、基本的には言論による「平和的説得」を超えるピケッティングについては正当性がないと考えているようです。
【使用者の対抗手段】
労働者の争議行為に対する使用者の対抗手段としては次のものが考えられます。
①通常の操業の継続
通常の操業を続けることで、労働者側がねらうストライキ等の効果を減少させることができます。なお、操業継続のために代替労働者を雇用することもでき、当該行為は不当労働行為にはならないとされています。
②ロックアウト
ロックアウトとは、使用者が争議行為の相手方である労働者に対して、労務の受領を集団的に拒絶し、又は事業場から集団的に締め出す行為をいいます。
使用者がロックアウトを行う目的は、労務提供を拒否することで労働者に対する賃金の支払を免れることにあります。
ロックアウトが認められるかどうかは、個別具体的に判断されますが、具体的な考慮要素としては(1)労使間の交渉態度、(2)経過、(3)組合側の争議行為の態様、(4)それによって使用者が受ける打撃の程度などがあげられるものと思われます。
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