【減給の制裁の対象に賞与が含まれるかどうか】
労働基準法91条は、賞与についても適用があり、減給の額は、1回の事由につき平均賃金の2分の1以内、複数の事由が存在する場合の総額は賞与額の10分の1以内でなければなりません。(昭和63.3.14基発150号)
1. 最高裁判例をご紹介します。
・広島高判平13.5.23
適用される賞与とは、基本給等を基礎に機械的に金額が決定され支払われた賞与のことであり、支給の有無、金額が査定によって決定されるような賞与は、査定を経て初めて具体的に金額が決定されることから減給の制裁の適用はなく、査定の結果、賞与の金額が低くなったとしても、同条違反にはなりません。
2. まとめ
民間企業では、賞与の決定について機械的に行われているという企業は少数派で、多くの企業はなにかしらの査定により初めて支給額が決定されることが多いと思います。
そうすると査定の過程で非行行為をなした事実がマイナスカウントされ、その結果算定された賞与額が非行行為がなかった場合の仮定額と比較して低額となることが考えられます。
つまり減給の制裁が賞与額にふくまれるかどうかは、賞与の支給基準が機械的に決定されているか、そうでないかになります。
就業規則に賞与の支給については、業績や能力、貢献度などに応じて支給することがある。金額についても業績や能力、貢献度に応じて決定する。といった規定になっていることが多く、労働者にとって必ず支給されるものでないことが多いです。
賞与に支給について、減給を検討する場合、まず、自社の就業規則がどうなっているか、確認してから行うようにしましょう。
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