登録実用新案公報,公開実用新案公報,実用新案公報,実用新案登録公報, 再公表実用新案(公報),公表実用新案公報。それぞれどういう違いがあるのでしょうか。各公報の意味合いを正しく理解することで、危険を回避できる一方、これらを読み誤ると無駄な投資となったり、他人の権利を侵害することになったりしかねません。以下に、詳しくみてゆきます。
【登録実用新案公報】《現行法》
実用新案登録が無審査(平成6年1月1日施行)となった以降の出願が、登録となった際に発行される公報です。出願後、方式的な審査を経て概ね半年後に発行されます。
平成6年1月1から平成17年3月30日までに出願された実用新案権の権利存続期間は出願日から6年ですが、法改正により平成17年4月1日からの実用新案登録出願の存続期間は出願日から10年となりました。存続期間の満了日が、出願のタイミングにより異なりますので、注意が必要です。
・表示例(H8.5.29~):実用新案登録第XXXXXXX (3,000,001番からの連続番号)
【公開実用新案公報】《旧法》
現在、実用新案は実体審査を行いません。公開実用新案公報は、無審査制度に移行するまでに出願された内容を公示するものであり、昭和45年から平成5年12月31日までに出願された実用新案登録出願を、出願日から1年6ヶ月で公開する公報です。
尚、従来、公開実用新案公報は要部公開方式の下、書誌事項、実用新案登録請求の範囲、要約、図面だけが公開され、考案の詳細な説明は公開されませんでしたが(考案の詳細な説明は閲覧のみ)、現在は“実用全文”(U1)の形式で入手可能です。出願された内容であり、登録内容を示すものではありません。
・表示例(S46.7.16~H4.7.29):昭XX-XXXX,平XX-XXXX
・表示例(H4.7.29~):実開平XX-XXXX
【実用新案公報】【実用新案登録公報】《旧法》
旧法下、出願された実用新案登録出願が審査の結果、登録すべきものと判断された出願を公示するための公報です。
“実用新案公報”は旧法の付与前の異議申立の対象となる公示方法です。一方、”実用新案登録公報”は付与後異議申立制度の公示方法であって、無審査制度導入(平成6年1月1日施行)以前に出願され、平成8年1月よりの権利付与後の異議申立制度により発行された公報です。
・表示例(~H5):昭XX-XXXX,平XX-XXXX
・表示例(H6~H8.3.29):実公平XX-XXXX
【再公表実用新案(公報) 】
再公表は、特許協力条約(Patent Cooperation Treaty/以下、PCTと称す。) に基づき国際公開された日本語特許出願を(「再公表特許」あるいは)「再公表実用新案」として特許庁が改めて日本国内において公開するものです。
・表示例:WOXX/XXXXXX
【公表実用新案公報】
公表公報は、PCT国際出願のうち、日本を指定国とする出願の日本語の翻訳文が提出されたものを特許庁が(「公表特許公報」あるいは)「公表実用新案公報」として発行するものです。
・表示例:実表昭XX-XXXXXX、実表平XX-XXXXXX、実表20XX-XXXXXX
【公報発行予定】
各公報は、原則として以下のルールで発行されています。
・特許(掲載)公報は、毎週水曜日発行(水曜が祝祭日の場合には木曜発行)
・公開公報(公開特許公報、公表特許公報、再公表特許)は、毎週木曜日発行(木曜が祝祭日の場合には金曜発行)
【存続期間】
・1905年(明治38年)- :登録日から6年
・1988年(昭和63年)1月1日-1993年(平成5年)12月31日:登録日から10年かつ出願日から15年を超えない(旧法の下での実用新案権)
・1994年(平成6年)1月1日-2005年(平成17年)3月31日:出願日から6年
・2005年(平成17年)4月1日以降:出願日から10年
【まとめ】
各種公報を正しく理解し、利用することで自社の研究開発に役立てて下さい。不明な点があれば、まずは専門家に相談して頂きたいと思います。
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