意匠も商標も公報にはいくつか種類があり、その種類によって法的な効果も異なります。特に出願内容を公示するためだけの公開情報と独占排他権の内容を公示する権利情報が示された各公報を取り違えないよう、注意が必要です。
【意匠公報】
意匠公報とは、意匠権の設定登録があったときに発行され、書誌事項、願書の記載、願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本の内容を掲載したものです。ただし、秘密意匠については書誌事項のみ掲載し、秘密にすることを指定した期間が経過したときに書誌事項、願書の記載及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本の内容を掲載して発行されます。
尚、意匠には出願公開制度はありませんので、登録前に公開されることはありません。特許のように技術の累積的進歩を図る必要性がないばかりか、公開による出願人への不利益(模倣されやすい)が大きいことによります。
【国際意匠公報】
WIPO(World Intellectual Property Organization)国際事務局への1つの手続きで複数の締約国へ同時に意匠登録出願した効果が得られる、意匠の国際登録制度下で発行されるのが、国際意匠公報です。
「ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく意匠の国際出願」(H27.5.13発効)により、日本を指定国とした国際登録が国際事務局により公表されると、国際登録の日にされた我が国における意匠登録出願(以下、国際意匠登録出願)とみなされます。我が国特許庁では、この国際意匠登録出願に対して出願ごとに国内の出願番号を追加して付与します。
【公開商標公報】
公開商標公報は、商標登録出願があったときに発行される公報です。出願内容の公表にとどまるので、登録されたことを示すものではありません。一般に、出願日から3週間前後で公開されます。
【商標公報】
商標公報は、商標権の設定登録があったときに発行される公報です。審査の結果、登録査定を受け、登録料を納付し、設定登録がなされると商標公報が発行されます。なお、商標公報は商標権の内容を示すものですが、実務上、現状の権利内容を確認するときには登録原簿で把握します。権利譲渡等の権利内容に変動があったときには商標公報には反映されないことがその理由です。
【公開国際商標公報】
国際商標登録出願(マドリッドプロトコルによる国際登録出願。以下、マドプロと称す。)が日本を指定してなされた場合に、その内容が公表されるのが公開国際商標公報です。マドプロの国際登録出願は、出願日を登録日とし、国際登録番号が付与されていますが、我が国での審査を経ていませんので、我が国では出願公開として取り扱います。
【国際商標公報】
国際商標登録出願について保護の拡張(指定国内での登録)があった際に発行されるのが国際商標公報です。国内での登録があった日を登録日として公表されますが、国内の登録番号は付与されず、出願時の国際登録番号がそのまま使用されます。
【まとめ】
各種公報を正しく理解し、利用することで自社の研究開発に役立てて下さい。不明な点があれば、まずは専門家に相談して頂きたいと思います。
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