【民事保全の制度とは】
民事保全制度は、一定程度の権利が認められ、かつ緊急性の認められる事件の場合、裁判所の許可を得て、財産の現状を維持させるための制度です。それでは、実際に民事保全制度を利用する場合、どのような流れになるのでしょうか。
裁判所によって、取り扱いや運用が異なりますが、大まかな流れは同じです。ここでは、大阪地方裁判所本庁の流れについて説明します。
【民事保全事件の大まかな流れ】
・申し立て
申立書正本、疎明資料、印紙・郵券、目録の提出を管轄の裁判所に提出します。弁護士が代理する場合、委任状も必要になります。
印紙の金額は一つの申し立てにつき、2000円です。
郵券の金額は、債務者や第三債務者の数によって変わってきますので、事前に確認しておきましょう。
目録とは、申立書に添付する当事者目録・請求債権目録・仮差押債権目録等のことです。申立書に添付する1通のほか、決定正本用に当事者の数プラス1通を裁判所に提出します。
・裁判官との面接(債権者面接)
大阪地方裁判所本庁では、申立後に、裁判官と債権者の面接があります。債権者面接がない裁判所もあります。
仮の地位を定める仮処分等では、債務者審尋も行われます。
・担保決定の告知
担保すべき金額が裁判所から告知されます。すぐに立担保できない場合、いつころ率担保できるか裁判所に連絡しておきます。現金供託以外の立担保も可能ですが、現金以外の立担保の場合、事前に確認しておく必要があります。
・供託
現金による立担保の場合、裁判所から告知された担保すべき金額を法務局で供託します。供託金の預け入れを行うのが法人の場合、資格証明書として登記簿謄本等が必要になります。大阪法務局では、供託について、現金の受け入れが可能ですが、堺支局等現金の受け入れができない場合もあります。現金の受け入れを行っていない法務局で供託する場合、日本銀行代理店をしている銀行の窓口での預け入れの他、ATMやネットバンキング等を利用したPay-easy(ペイジー)での電子納付も可能です。
・供託書の提出
法務局で供託が完了したら、供託書が発行されます。大阪地方裁判所本庁での保全事件の場合、供託書の原本を提出しますので、提出前に控えとして写しを取っておくことをおすすめします。
いつころ裁判所に供託書を提出できるか、事前に裁判所に連絡しておくことで、スムーズにその後の手続きを行うことができます。
・保全命令の発令
裁判所に供託書の提出が完了しましたら、裁判所から保全命令が発令されます。保全命令が発令されますと、仮差押決定正本が送達されます。大阪地方裁判所本庁の場合、直接 受け取る方法もありますし、郵便での送達を受けることも可能です。郵便での送達を希望される場合は、郵券を追納する必要があります。
【民事保全制度の利用】
民事保全の手続きは、緊急性のある事件であり、迅速に手続きが進められていきます。申立から立担保がスムーズにいった場合、数日で保全命令の発令までいくこともあります。
仮差押命令申立事件、仮処分命令申立事件でお悩みの方は天王寺の弁護士法人英明法律事務所にご相談ください。
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