【労働者派遣事業の意義等①】
労働者派遣事業の意義について①労働者派遣②派遣労働者③労働者派遣事業④紹介予定派遣⑤法の適用範囲、の5つの観点から解説していきます。今回は①労働者派遣の意義について述べています。
労働者派遣とは「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まない」ものをいいます(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「法」という。)第2条第1号)。
したがって、労働者派遣における派遣元、派遣先及び派遣労働者の三者間の関係は、①派遣元と派遣労働者との間に雇用関係があり、②派遣元と派遣先との間に労働者派遣契約が締結され、この契約に基づき、派遣元が派遣先に労働者を派遣し、③派遣先は派遣元から委託された指揮命令の権限に基づき、派遣労働者を指揮命令するというものです。
【労働者及び雇用関係】
労働者とは、事業に雇用され、事業主から賃金を支払われるものをいいます。
雇用関係とは、民法(明治29 年法律第89 号)第623 条の規定による雇用関係のみではなく、労働者が事業主の支配を受けて、その規律の下に従属的地位において労働を提供し、その提供した労働の対償として事業主から賃金、給料その他これらに準ずるものの支払を受けている関係をいう。労働者派遣に該当するためには、派遣元との間において当該雇用関係が継続していることが必要です。
【指揮命令】
労働者派遣は、労働者を「他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」であり、この有無により、労働者派遣を業として行う労働者派遣事業と請負により行われる事業とが区分されます。
「他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させる」ものではないとして、労働者派遣事業に該当せず、請負により行われる事業に該当すると判断されるためには、
第1に、当該労働者の労働力を当該事業主が自ら直接利用すること、すなわち、当該労働者の作業の遂行について、当該事業主が直接指揮監督のすべてを行うとともに、
第2に、当該業務を自己の業務として相手方から独立して処理すること、すなわち、当該業務が当該事業主の業務として、その有する能力に基づき自己の責任の下に処理されることが必要ですが、具体的には、“労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準“に基づき判断を行います(昭和61 年労働省告示第37 号)。
なお、労働者派遣を受け、当該派遣労働者を用いて、請負により事業を行うことが可能であるのは当然であるので留意することが必要です。
「他人のために労働に従事させる」とは、当該労働への従事に伴って生ずる利益が、当該指揮命令を行う他人に直接に帰属するような形態で行われるものをいいます。
「労働に従事させる」の前提として場所的な移動は前提ではなく、他人が派遣元の事業所に出向いて指揮命令を実施する場合であっても、当該指揮命令に伴って生ずる利益が当該他人に直接に帰属する限りは労働者派遣に該当します。
なお、「労働に従事させる」とは、派遣元が雇用主としての資格に基づき、労働者について自己の支配により、その規律の下に従属的地位において労働を提供させることをいうものであり、労働者に対する指揮命令に係る権限についても、派遣元から派遣先へ委託されてはいるが本来的には、派遣元に留保され、労働についても観念的には派遣元に提供されているものであることに留意する必要があります。
(まとめ)
労働者派遣といっても指揮命令の有無によっては、請負とされるものもあり、派遣を行うための要件などが定められているため、定義を理解することが重要となります。社労士法人Real&Cloudでは派遣業許可申請の代行手続きを行っています。
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