海外で特許権を取得するには、その国へ直接特許出願を行う必要がありますが、近年、経済のグローバル化、模倣品対策の必要性から特許権を取得したい国数が増える傾向にあります。その際、権利化を希望するすべての国について、先願主義の下、すべての国々に対して各国言語で速やかに特許出願を完了することは困難であり、煩雑を極めます。
そこで、直接出願の煩雑さ、非効率さを改善するために、「PCT国際出願」という制度が設けられました。PCT国際出願では、国際的に統一された出願書類をPCT加盟国である自国の特許庁に対して特許庁が定めた言語で作成し、1通だけ提出すれば、その時点で有効なすべてのPCT加盟国に対して「国内出願」を出願したことと同じ扱いを得ることができます。
【加盟国】
カメルーン、中央アフリカ、チャド、コンゴ共和国、ガボン、ドイツ、マダガスカル、マラウイ、セネガル、スイス、トーゴ、英国、米国、フランス、ロシア、ブラジル、ルクセンブルグ、スウェーデン、日本、デンマーク、オーストリア、モナコ、オランダ、ルーマニア、ノルウェー、リヒテンシュタイン、オーストラリア、ハンガリー、※北朝鮮、フィンランド、ベルギー、スリランカ、モーリタニア、スーダン、ブルガリア、韓国、マリ、バルバドス、イタリア、ベナン、ブルキナファソ、スペイン、カナダ、ギリシャ、ポーランド、コートジボワール、ギニア、モンゴル、アルメニア、ベラルーシ、ジョージア、カザフスタン、キルギスタン、モルドバ共和国、タジキスタン、トルクメニスタン、ウクライナ、ウズベキスタン、アイルランド、ポルトガル、ニュージーランド、チェコ、スロバキア、ベトナム、ニジェール、ラトビア、中国、スロベニア、トリニダード・トバゴ、ケニア、リトアニア、エストニア、リベリア、エスワティニ、メキシコ、ウガンダ、シンガポール、アイスランド、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、アルバニア、レソト、アゼルバイジャン、トルコ、イスラエル、キューバ、セントルシア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア共和国、ガーナ、ジンバブエ、シエラレオネ、インドネシア、ガンビア、ギニアビサウ、キプロス、クロアチア、グレナダ、インド、アラブ首長国連邦、南アフリカ共和国、コスタリカ、ドミニカ、タンザニア、モロッコ、アルジェリア、アンティグア・バーブーダ、モザンビーク、ベリーズ、コロンビア、エクアドル、赤道ギニア、フィリピン、オマーン、ザンビア、テュニジア、セント・ビンセント及びグレナディーン諸島、セーシェル、ニカラグア、パプアニューギニア、シリア・アラブ、エジプト、ボツワナ、ナミビア、サンマリノ、コモロ連合、ナイジェリア連邦共和国、リビア、セントクリストファー・ネービス、ラオス人民民主共和国、ホンジュラス共和国、マレーシア、エルサルバドル共和国、グアテマラ共和国、マルタ共和国、バーレーン王国、モンテネグロ共和国、ドミニカ共和国、アンゴラ共和国、サントメ・プリンシペ民主共和国、チリ共和国、ペルー共和国、タイ王国、カタール、ルワンダ、ブルネイ・ダルサラーム国、パナマ共和国、サウジアラビア、イラン・イスラム共和国、クウェート、ジブチ、カンボジア王国、ヨルダン・ハシェミット王国(平成30年8月現在、加盟国は152か国)
【手続概要】
出展:特許協力条約(PCT)に基づく国際出願制度(特許庁)より抜粋。
https://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/pdf/panhu/panhu17.pdf
【メリット】
・一つの出願ですべての加盟国で出願日を確保することができる。
・自国の言語で、自国の特許庁へ提出でき、その効果はPCT全加盟国へ及びます。従来の各国言語で手続きを行う直接出願に比して極めて効率的です。
・国際調査の結果は、各国での権利成立の可否についての有効な判断材料となります。
・権利を取得したいと考える国へ更なる手続を進めるかどうかは、優先日から30か月(一部例外あり)以内に判断すればよく、市場動向の変化など、時間をかけて検討することができます。
【デメリット】
・国際段階における手続きが複雑であることが挙げられます。直接出願する場合、相手国への手続きだけで済みますが、国際段階での手続きがプラスされることが欠点となります。
・国数が少ない場合には、国際出願にかかる費用分が割高になります。直接海外へ出願するときには不要な国際出願費用が余分にかかってしまいます。
【まとめ】
複数の国で特許権を取得することをお考えの場合、是非PCT国際出願をご検討下さい。なお、一定の条件下で、調査手数料などの軽減措置(産業競争力強化法に基づく特許料の軽減措置)や交付金(国際出願促進公布金)を受けることができます。ご不明な点があれば、まずは専門家にご相談下さい。
ご相談
ご相談を希望される方は、次の電話番号までお問い合わせ下さい。
弁護士法人英明法律事務所・知財担当
大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43あべのハルカス32階
電話番号:06-6625-6033