労使協定(36協定)の記載事項の見直し
・改正のポイント
36協定の記載事項が見直され、様式が改正されます。
改正前:
36協定では「1日」「1日を超え3か月以内の期間」「1年間」の延長時間を記載
改正後:
・36協定では「1日」「1か月」「1年間」の延長時間を記載することになります。
・新たに、①1年間の上限時間を適用する対象期間の起算点、②原則(1か月45時
間、1年360時間)の上限時間を超えて労働した労働者に講ずる健康確保措置の記載が必要になります。
また、36協定において定めなければならない事項については、これまで労働基準法施行規則16条で定められていましたが、今回の改正により、労働基準法36条2項で定められることとなり、内容についても以下のように変更されました。
【36協定締結に必要な主な記載事項】
改正前:
労働基準法施行規則16条
- 時間外労働させる必要のある具体的な事由
- 業務の種類
- 労働者の数
- 1日について延長させることができる期間
- 1日を超える一定の期間について延長することができる時間
- 労働させることができる休日
- 有効期間
改正後:
労働基準法36条2項
- 労働者の範囲
- 対象期間
- 時間外労働、休日労働をさせることができる場合
- 対象期間における1日、1か月および1年のそれぞれの期間における時間外労働時間または休日労働日数
- 時間外労働および休日労働を適正なものにするために必要な事項として厚生労働省で定める事項
- 例外の場合
解説:
労働者の範囲について
時間外労働や休日労働をさせることができる労働者の範囲を定めることとされましたが、これまでも、「業務の種類」、「労働者の数」を定める必要とされていたため、実質的に変更はないといえるでしょう。
対象期間について
時間外労働、休日労働をさせることができる対象期間は「1年間に限る」旨定められました。これまでも、1年を対象期間とする36協定が締結されることが多かったため、実態としてあまり変わりありません。
時間外労働、休日労働をさせることができる場合について
従来の労働基準法施行規則16条により、「時間外又は休日の労働をさせる必要がある具体的事由」を36協定で記載することが求められていましたので、特に内容的には変わらないものと思われます。
対象期間における1日、1か月および1年のそれぞれの期間における時間外労働時間
または休日労働日数
「1日を超える一定の期間」は「1か月」「1年」に限られることになり、対象期間1年における「1日」「1カ月」「1年」のそれぞれの期間について、時間外労働をさせることができる時間を記載することに変わります。
時間外労働および休日労働を適正なものにするために必要な事項として厚生労働省で定める事項
具体的には、以下の点が厚生労働省令で定められる予定となっています。
-
- 時間外労働の上限の原則(月45時間、年360時間)を超えて労働した労働者に講ずる健康確保措置
- 限度時間を超えた労働に係る割増し賃金率
- 限度時間を超えて労働する場合における手続き
- 限度時間を超えて労働する場合に、2か月ないし6か月のそれぞれの期間における時間外労働および休日労働の1か月当たりの平均時間が80時間以内となるよう定めること
例外の場合
通常予見することができない業務量の大幅な増加に伴い、臨時的に36協定で定めた限度時間を超えて労働させる必要がある場合には、以下の事項について定めておきます。
・1か月における時間外労働および休日労働できる時間
・1年について時間外労働できる時間
・時間外労働の原則月45時間を超える月数(年6回まで)
今後、厚生労働省が定める指針において留意事項や割増賃金率その他の必要な事項について定められる予定になっています。したがって、具体的な運用については、指針に即して行われるものと思われます。なお、指針では、時間外労働をできる限り短くするよう努めなければならないこと、休日労働を可能な限り抑制するよう努めなければならないことを定めることが予定されています。
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