法上、原則として一つの物品に対して一つの意匠出願でないと登録されません(一意匠一出願の原則)(意匠法7条)。しかし、形状が変化する物品について、形状ごとに別々の出願をしなくとも、一つの出願で意匠登録を行うことが可能です。
意匠法の「意匠」とは、「物品(物品の部分を含む)の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」とされていますが(意匠法2条1項)、この「意匠」には、動く物品の形状等も含まれると解されています。このような意匠は動的意匠と呼ばれ、具体例としては、折り畳み自転車や扉が開閉する冷蔵庫などがあります。
【動的意匠登録出願の注意点】
願書の「意匠に係る物品の説明」の欄に、動的意匠である旨を記載し、意匠の変化の前後の状態がわかるような図面を作成して提出します。
【動的意匠の権利範囲】
動的意匠は、変化の前後の個々の意匠形状に、意匠権が一つずつ発生するのではなく、動的意匠全体に一つの意匠権が発生します。被疑侵害物品が動的意匠の意匠権侵害を構成するか否かは、変化の前後を考慮して類否判断がなされます。
【登録例①】
出典:意匠登録第1418480号「折り畳み自転車」
【登録例②】
出典:意匠登録第1376566号「折りたたみ椅子」
【まとめ】
プロダクトデザインは、昨今益々重要度を増していますが、デザインは物品の外観であるので模倣が容易です。苦労して創作したデザインを他社に模倣されないよう、意匠権の取得を目指しましょう。
意匠には、全体意匠、部分意匠、関連意匠、組物の意匠、動的意匠、秘密意匠と、意匠の特徴等に合わせて6つの種類があるので、いずれの制度を利用すればよいか、まずは専門家へご相談下さい。
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