【派遣元事業主の講ずべき措置等①】
労働者派遣事業は、派遣労働者が派遣元事業主に雇用されながら、派遣先から指揮命令を受けて労働に従事するという複雑な形態で事業が行われる。
このため、派遣労働者の保護と雇用の安定を図るため、派遣元事業主は以下の措置等を講じなければならない。
1. 特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等のための措置(法第30条)
2. 段階的かつ体系的な教育訓練等(法第30条の2)
3. 均衡を考慮した待遇の確保のための措置(法第30条の3)
4. 派遣労働者等の福祉の増進のための措置(法第30条の4)
5. 適正な派遣就業の確保のための措置(法第31条)
6. 待遇に関する事項等の説明(法第31条の2)
7. 派遣労働者であることの明示等(法第32条)
8. 派遣労働者に係る雇用制限の禁止(法第33条)
9. 就業条件の明示(法第34条)
10. 労働者派遣に関する料金の額の明示(法第34条の2)
11. 派遣先への通知(法第35条)
12. 派遣可能期間の適切な運用(法第35条の3)
13. 日雇労働者についての労働者派遣の原則禁止(法第35条の4)
14. 離職した労働者についての労働者派遣の禁止(法第35条の5)
15. 派遣元責任者の選任(法第36条)
16. 派遣元管理台帳の作成、記載及び保存(法第37条)
【特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等のための措置(法第30条)】
派遣労働への固定化防止の観点から、派遣先の同一の組織単位において3年の期間制限があるが、3年に達した後に次就業先がなければ職を失うこととなる可能性がある為、派遣期間終了後も雇用が継続されるよう講ずべき措置が課されている。
イ. 派遣先への直接雇用の依頼
ロ. 新たな就業機会(派遣先)の提供
ハ. 派遣元事業主において無期雇用
ニ. その他安定した雇用の継続が確実に図られると認められる措置
尚、3年未満の期間においても、派遣契約の終了により職を失うことがないようにすることが重要であるため、1年以上同一の組織単位に派遣されている労働者については雇用安定を図る努力義務が課されている。
【段階的かつ体系的な教育訓練等】
派遣労働者の中には、正規雇用として働きたい、あるいはスキルアップしたいというニーズもあるが、派遣労働者は一般に、正規雇用労働者に比べ、教育訓練の受講機会が乏しい状況にある。そのため、派遣労働者のキャリアアップを図ることが重要となり、派遣元事業主に教育訓練を義務付けられる。訓練を段階的かつ体系的に行うためには
以下の要件を満たす必要がある。
イ. 派遣元事業主に雇用されている派遣労働者全員を対象とするものであること。
ロ. 有給、無償で実施されるものであること。
ハ. 派遣労働者のキャリアアップに資するものであること。
ニ. 入職時の訓練が含まれたものであること。
ホ. 無期雇用派遣労働者に対しては、長期的なキャリア形成を念頭に置いた内容であること。
【均衡を考慮した待遇の確保のための措置(法第30条の3)】
派遣労働者の待遇については、実態として正社員との格差が存在すること等が指摘される。このため、派遣元事業主に対し、派遣先に雇用される同種の業務に従事する労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、派遣労働者の賃金決定に配慮する義務がある。
また、教育訓練・福利厚生の実施等の措置を講ずるよう配慮が課されている。
(まとめ)
派遣元事業主は派遣労働者の雇用の安定を図る義務があります。労働者派遣事業許可の段階で、適正に運用できるよう計画をたてていくことが重要となります。
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