労働者派遣のできない業務(「適用除外業務」といいます)が「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(通称「労働者派遣法」)及びその施行令等によって決められています。
【適用除外業務等】
労働者派遣については適用除外業務に係る制限があります。また適用除外業務以外の業務についても制限されているものがあります。適用除外業務は、医療・港湾・建設・警備・士業務の5つに大別されます。もし違反した場合、派遣会社と派遣先の担当者または責任者が「1年以下の懲役または100万円以下の罰金(派遣法第59条第1号)」を受けることになります。適用除外業務に定められている仕事は、その業務に携わる方が就業先で直接雇用されていないと問題があったり不都合が多いものばかりです。業務の指示をしているのは派遣先であるにも関わらず、派遣社員に起こったこと(不祥事やケガなど)全てを派遣会社が責任を負うことに問題があります。こうしたリスクを回避するために、適用除外業務の派遣を禁止しているのです。
【適用除外業務】
適用除外業務は大きく分けて次の五つがあります。
① 港湾運送業務
港湾労働法第2条第2号に規定する港湾運送の業務及び同条第1号に規定する港湾以外の港湾において行われる当該業務に相当する業務で、港湾における、船内荷役・はしけ運送・沿岸荷役やいかだ運送、船積貨物の鑑定・検量等の業務
② 建設業務
土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの準備の作業に係る業務
③ 警備業務
警備業法第2条第1項に掲げる業務で、事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等における、または運搬中の現金等に係る盗難等や、雑踏での負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
④ 病院・診療所等における医療関連業務
医師、歯科医師、薬剤師の調剤、保健婦、助産婦、看護師・准看護師、栄養士等の業務ただし、次の場合は可能となります。
• 紹介予定派遣
• 病院・診療所等(介護老人保健施設または医療を受ける者の居宅において行われるものを含む)以外の施設(社会福祉施設等)で行われる業務
• 産前産後休業・育児休業・介護休業中の労働者の代替業務
• 就業の場所がへき地・離島の病院等及び地域医療の確保のため都道府県(医療対策協議会)が必要と認めた病院等における医師の業務
【適用除外業務以外の業務に係る制限】
適用除外業務以外で労働者派遣が禁止されている業務があります。
• 弁護士、社会保険労務士等のいわゆる「士」業務
弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、建築士事務所の管理建築士の業務等
(公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士等の業務では一部で労働者派遣は可能です)
• 人事労務管理関係のうち、派遣先において団体交渉又は労働基準法に規定する協定の締結等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務
(まとめ)
労働者派遣法の適用除外業務については、派遣労働者への責任の所在などの観点から定められています。適用除外業務について派遣を行うと罰則が定められていますので、十分な注意が必要となります。