防護標章制度とは、使用しているか使用していないかに関わらず、日本全国に知れ渡っている著名なマークを保護する制度をいいます。
登録商標は、同一・類似の範囲にまで権利は及びません。しかし、登録商標が著名になると、他人が同じ商標を非類似の商品・役務について使用すると、当該商標の商標権者が提供する商品・役務であるかのような誤解を招いてしまいます。そこで、法は、登録商標が広く知れ渡って著名となった場合に限り、商標権ではカバーできない非類似の商品・役務にまで権利を及ぼすこととし、他人が当該範囲について商標登録を受ける権利を防止し、もし使用した場合には商標権侵害とみなして迅速な救済を図る防護標章制度を導入しました。
【権利が及ぶ範囲】
登録商標は、専用権(青色部分)と禁止権(緑色部分)にしか権利は及びませんが、登録防護標章は、これらに加えて、標章が同一の場合、非類似の商品・役務についてまで禁止権の範囲が広がります(ピンク色部分)。
【通常の商標登録出願・登録商標との比較】
(1) 防護標章の場合には、審査の際に著名性を獲得しているか否かの審査があります。
(2) 防護標章は著名商標の第三者に対する使用の制限を目的としているので、審査において商標法3条や4条といった通常の登録要件は求められません。
(3) 一方、出願に係る防護標章が自己の登録商標であること、登録商標に係る指定商品・役務と防護標章出願に係る指定商品役務とが非類似であること、登録商標が全国的に著名であること。
(4) 登録防護標章登録の権利期間は、通常の登録商標と同じ10年間です。但し、更新の際には、通常の登録商標が「申請」であるのに対して、防護標章は「出願」をする必要があります。既に著名性を喪失したような場合には、更新は認められません。
【まとめ】
防護標章登録を検討する段階においては、同時に模倣品対策、海外からの海賊版の流入といった水際対策など多方面からの検討が求められます。また、不正競争防止法や、商品によっては意匠法も関わってくることが考えられますので、専門家へのご相談をお勧めします。
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