1.概要
労働審判手続は,労働審判官(裁判官)1人と労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2人で組織された労働審判委員会が,個別労働紛争を,原則として3回以内の期日で審理し,適宜調停を試み,調停による解決に至らない場合には,事案の実情に応じた柔軟な解決を図るための労働審判を行うという紛争解決手続です。
労働審判に対して当事者から異議の申立てがあれば,労働審判はその効力を失い,労働審判事件は訴訟に移行します。
2. 具体的な手続きの流れ
(1)対象の事件
労働審判法第1条は、労働審判制の対象となる事件を「個別労働関係民事紛争」に限定しています。「個別労働関係民事紛争」とは、「労働契約の存否その他の労働関係に関する事項についてここの労働者と事業者との間に生じた民事に関する紛争」を言います。
具体的には、解雇・雇止め、賃金・退職金未払い、人事異動(配転・出向・転籍)、労働条件の引き下げ、労働者の人権侵害(パワハラ・セクハラ)、労働災害等で、労使間で通常問題となる紛争の大半が労働審判の対象となります。
これに対して、労働組合を一方当事者とするような集団的労使紛争は労働審判の対象となりません。
(2)申立て
労働審判は地方裁判所に申立を行います。労働審判の申し立てを行うことはできるのは地方裁判所の本庁及び一部の支部です。
※労働審判事件取扱支部 ・東京地裁立川支部 ・福岡地裁小倉支部 ・静岡地裁浜松支部 ・長野地裁松本支部 ・広島地裁福山支部
申立には申立手数料及び郵便切手等の手数料が必要です。裁判所ごとに金額が異なる可能性がありますので、申立を行う裁判所に直接お問い合わせください。
申立は代理人をつけずに本人が行うことも可能ですが、代理人をつける場合は、原則として弁護士を代理人に選任する必要があります。
申立ができる裁判所は次のとおりです。
①相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する地方裁判所
※例えば勤務先の会社が大阪に本店を置く場合は大阪地方裁判所が管轄の裁判所になります。
②個別労働関係民事紛争が生じた労働者と事業主との間の労働関係に基づいて当該労働者が現に就業し若しくは最後に就業した当該事業主の事業所の所在地を管轄する地方裁判所
※例えば、大阪の事務所で勤務していた場合、大阪地方裁判所が管轄の裁判所になります。
③当事者が合意で定める地方裁判所
(3)審理及び調停
労働審判委員会は原則として3回以内の期日で事実関係や法律論に関する双方の言い分を聴いて、争いになっている点を整理して、必要に応じて証拠調べを行います。
話し合いによる解決の見込みがあればいつでも調停を試みます。
(4)調停の成立
話し合いによる解決について合意に至った場合、労働審判は行わずに調停を成立させます。
(5)労働審判
話し合いによって解決できない場合には、労働審判を行い、労働審判委員会がトラブルの実情に応じた解決案の提示を行います。
労働審判の内容に不服がない場合は労働審判の内容が確定します。
これに対して、労働審判の内容に不服がある場合、当事者は異議の申し立てを行い、手続を訴訟手続に移行させることができます。
異議の申し立てについては労働者側、使用者側のいずれの立場からも行うことができます。
訴訟手続に移行した場合、労働審判は失効します。
3.まとめ
労働審判の申し立てについては本人が行うこともできますが、事実関係の立証や法律論の主張を行うことは難しく、十分な訴訟活動ができない可能性があります。
当事務所では、経験豊富な弁護士が、あなたの立場に立って、最も適切な訴訟活動を行います。
どんなことでも結構ですので、まずは弁護士にご相談ください。
弁護士法人英明法律事務所(大阪市(天王寺・あべのハルカス)・岸和田市)では、 法律相談を受け付けています。
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