(総論)割増賃金の要件と対策について
割増賃金は、労働基準法で定められているもので労働者が法定労働時間(1日8時間、週40時間(特例の事業所については、週44時間)を超えて勤務した際に、通常支給される賃金の25%以上割り増しで支払うことが求められています。(法定休日の場合は35%増しになります)
法定労働時間を超えて労働することは、労働基準法で禁止されており、事業主には、法定労働時間内で勤務が収まるよう運用することが求められることになります。36協定届を提出し協定の範囲で労働させて場合でも、割増賃金の支給が義務になります。また残業時間が60時間を超えると中小企業でも2022年からは50%の割増賃金が必要になります。(現状は猶予されています)
(各論)ここでは、要件と対策をご紹介します。
- 割増賃金の要件
割増賃金の要件は、総論で記載した通りになりますが、
25%増しになる算定の基礎となる賃金には、一部除外するものがあります。(限定列挙)
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
また上記の名目であっても一律に支給される場合や、実体が伴わない場合は、割増賃金の算定に含むものとされます。
- 対策
割増賃金の要件は、総論の通りですが、業種によっては、繁忙期と閑散期がはっきりしている業種があります。
そのような場合、変形労働時間制を採用すれば、必ずしも1日8時間超=割増賃金、週40時間超=割増賃金というのを防ぐことができます。
また労働者にとってもの繁忙期は、残業をし、閑散期には、早く勤務を終えることができるのでメリハリをもって業務に努めることが可能になります。
変形労働時間制には、下記の書類があります。
・1カ月単位の変形労働時間制
・1年単位の変形労働時間制
・フレックスタイム制
・1週間単位の変形労働時間制
いずれも目的は、労働時間短縮であり、事業主にとっても上手に活用すれば、労働時間、人件費の削減につながることになります。
まとめ
割増賃金のもとになる残業というのは、労使ともにメリットはありません。
残業をすることで生産性が下がり、企業にとっては、人件費の発生につながり、負のスパイラルに陥ることになります。
徹底して業務効率化を図るというのも一つの方法ですが、同時に変形労働時間制を採用し上手に運用することで、労働時間の削減、人件費の削減に努めていきましょう。
運用にあたっては、要件がございますので、専門家である社労士に委託、相談するなどして適切に導入、運用を図っていただければと思います。
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