(総論)
【労働者派遣法とは】
労働者派遣法の正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」といい、派遣労働者を守るための法律です。
労働者派遣事業とは派遣元会社が雇用している派遣元労働者を実際に仕事に従事する派遣会社に派遣する形態をいいます。ここではそのしくみと活用のメリット・デメリットおよび禁止事項について記載しています。
(各論)
[労働者派遣事業のしくみ]
派遣の働き方の特徴は、雇用契約を結ぶ会社と、実際に働く会社が異なることです。派遣スタッフにとって派遣会社は雇用主、派遣先企業は勤務先となります。したがって実際の仕事の指示は勤務先の企業から受けますが、給料は派遣会社から支払われます。
雇用契約は、派遣社員として派遣会社に登録しただけでは、まだ結ばれたことになりません。 派遣先が決定し、お仕事が始まる段階で初めて契約が成立し、派遣期間の満了とともに契約も終了します。
[労働者派遣活用のメリット・デメリットについて]
・メリット
労働者派遣という雇用形態を採用することで、派遣先会社は①必要な時に②必要な期間③必要な人材をタイムリーに受け入れることが可能となり、業務効率や生産性を上げるメリットがあります。
また、労務コストの軽減という面で、募集・採用や雇い入れ後の教育訓練、派遣スタッフの給与支払いや社会保険料の負担などはすべて派遣元会社が行うので、派遣先会社としてはその分の手間が省けることとなります。
・デメリット
自前の社員ではないため会社に対する忠誠心が希薄でチームワークで成果を出すような社風の派遣先会社では馴染みにくい場合がある、とういうことがあげられます。
また、決まった仕事だけに従事することとなるため、正社員との意思疎通がスムーズにいかないケースがあります。
さらに、社内機密や情報が外部に漏れてしまう恐れもないわけではありません。
[法律で禁止されている派遣事業について]
派遣禁止業務に従事させることの禁止
労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その指揮命令の下に当該労働者派遣に係る派遣労働者を次のいずれかに該当する業務に従事させてはなりません。
・港湾運送業務
・建設業務
・警備の業務
無許可事業からの派遣受け入れの禁止
労働者派遣の役務の提供を受ける者は、派遣元事業主(労働者派遣法の規定による許可を受け、または届出書を提出した事業主)以外の労働者派遣事業を行う事業主から、労働者派遣の役務の提供を受けることはできません。
派遣可能期間を超える派遣受け入れの禁止
派遣先は、原則として、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から次に掲げる派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けことはできません。
1.派遣先が1年を超え3年以内の範囲で継続して労働者派遣の役務の提供を受ける期間として定めた期間
2.1の定めがない場合は1年
専ら派遣の禁止
派遣労働者の派遣先を特定の会社に限定する行為を専ら派遣といい、禁止されています。
(まとめ)
【労働者派遣を活用するにあたって】
労働者派遣を活用する際は、メリット・デメリットを考えたうえで、法律に基づき活用する必要があります。派遣可能期間や、禁止業務など細かく規定されており、法律に違反した場合は罰則が定められていますので十分注意して利用しましょう。