(総論)
【労働者派遣法の開始および許可申請】
派遣事業を始めるには、通常の開業とは異なり会社設立に加え、厚生労働大臣の許認可を得る必要があります。 そのためには、一定の要件をクリアし許認可申請を行なうことになります。また許認可申請が受理され許認可証が 発行されるまでには2~3ヶ月の期間がかかります。つまり会社を作っても営業ができない期間が出てしまいます。
(各論)
[派遣業許可を取得するための要件]
・資産要件
直近の決算書の貸借対照表をみてください。その中で、資産の部の合計額から負債の部の合計額を引いた額を「基準資産額」といいますが、この基準資産額が2,000万円以上になっているかを確認してください。次に「資産」の中の「流動資産」の「現預金」の欄が1,500万円以上になっているか確認してください。次に「基準資産額」が負債の部の合計額の1/7以上あることを確認してください。この3つを満たしていないと許可申請を行うことはできません。
・派派遣元責任者と職務代行者は必ず各1名は最低必要
派遣業を行うためには必ず、「派遣元責任者」を1名選任しなければなりません。それと同時に、派遣元責任者に何かあったときに代わって対応するための「職務代行者」も必ず1名選任する必要があります。
・派遣業を行うための事務所を確保
派遣業を行うためには業務が適正に行うことが出来る事務所を用意する必要があります。事務所にの広さが20㎡以上など決められていますので、詳しくは厚生労働省ホームページをご確認ください。
・労働保険・社会保険への加入
派遣業の許可を取得するためには、適正に労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金に加入する必要があります。
常勤の役員や営業スタッフが加入するのは当然として、派遣労働者についても、週20時間以上30時間未満の勤務で雇用保険に加入、週30時間以上の勤務で雇用保険、健康保険、厚生年金に加入させなければなりません。労働者の中で、各保険に加入していない者がいる場合、許可申請の際に、その理由を記述する必要があります。
[派遣業許可取得までのスケジュール]
①派遣元責任者講習の受講
派遣元責任者になる方は、派遣元責任者講習を予約し受講。
②教育訓練計画の作成
平成27年改正により、派遣労働者のキャリアアップに資する教育訓練計画の作成が必須となりました。適当に作った計画では、許可は通りません。
③申請書類、添付書類の準備
教育訓練計画の作成が完了したら、実際の許可申請書や計画書の作成、及び決算書や納税証明書、役員の履歴書、住民票などの添付書類の準備を始めます。
④労働局への事前相談ののち本申請
ある程度、申請書類・添付書類の準備が整ったら、一度、労働局へいき、問題点等がないか確認しにいきます(ご自身で申請を行う場合、一発で許可申請が通ることはまずありません。何度か労働局には出向くことになります)。何度か労働局での確認・相談が完了したら、本申請を行います。
⑤実地調査
本申請が無事受理されると、本申請を行った月の翌月に、労働局の担当者が実際に派遣事務所に来て、実地調査を行います。実地調査では、派遣事業を適正に行うことができる体制になっているかどうかをチェックし、派遣元責任者へのヒヤリングも行われます。
⑥許可証交付
厚生労働省の審議会審査で問題が無ければ、審査があった月の翌月1日に許可証が交付されます。
[許可の更新]
新規で派遣業の許可を取得した場合、その有効期間は3年になります。1度更新したら次の有効期間は5年になります。許可更新手続は、新規で許可を取得する手続と大差があるわけではありませんので、もう一度、許可を取得するようなイメージになります。そのため、直近の決算で許可取得と同様の資産要件を満たすことを求められるので、更新が近づいてきたら慎重に決算を組む必要があります。
(まとめ)
派遣事業を開始するには厚生労働省の許可が必要となります。細かな規定が定められていますので、許可申請の際は十分に確認の上、申請してください。社労士法人Real&Cloudでは派遣許可申請の代行を行っています。ご相談がございましたら、こちらまでお気軽にお問合せください。
社会保険労務士法人Real&Cloud
〒545-6032
大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43
あべのハルカス32階
☎06-6625-6222