【意匠法上の目的】
意匠とは、物品(物品の部分を含む。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせるものをいいます。また、画面デザイン(物品の本来的な機能を発揮できる状態にする際に必要となる操作に使用される画像)も物品の部分の形状、模様、若しくは色彩又はこれらの結合に含まれ、保護対象となります。
物品のデザインすなわち意匠は、経済活動の重要な要素です。店頭に同種の商品が機能、価格などを同じくして並べられていると、需要者は、その色彩、形状、模様などデザインの良し悪しに選択の基準を置くこととなります。また、意匠は美的外観であることから模倣が容易です。そこで、法は、創作者には一定期間、一定の条件のもとで独占排他権を与えて意匠の保護を図ることとし、の進歩を促進し、産業の発達に寄与しようというものです。
【意匠登録の対象】
意匠登録の対象は、1)視覚を通じて美観を起こさせる意匠、2)工業上利用できる意匠、であることが求められます。
[視覚を通じて美観を起こさせる意匠]
粉粒物の一単位など肉眼でその形態を判断しづらいものは対象にはなりません。
「工業上利用できる意匠」
機械的、手工業的生産過程を経て反復して生産され、量産される物品のデザインであることが必要となります。例えば、打ち上げ花火の閃光といった自然物を意匠の主体にしたもので量産できないものや、ビルなどの不動産、絵画など純粋美術の分野に属する著作物などは、意匠登録の対象とはなりません。
【特殊な意匠の種類】
[部分意匠]
物品の部分についての意匠登録が認められています。他人の意匠の特徴的な部分を取り入れて全体として類似しないという巧妙な模倣を排除するために規定された制度です。
[関連意匠]
一つのデザインコンセプトから生まれたバリエーションの意匠を保護する制度です。
[組物の意匠]
複数の物品の組み合わせを全体として一意匠であると認める制度です。法上、所定の56種類が定められています。
[秘密意匠]
設定登録後最長3年間の期間、登録意匠の内容を秘密にしておくことができる制度です。登録公報が公開されると直ちに模倣・盗用の危険にさらされることを考慮し、発売日まで秘密にしておく場合などに利用される制度です。
[動的意匠]
物品の形状等がその物品の機能に基づいて変化する場合に、その変化の前後にわたる形状等について意匠登録を受けることができる制度をいいます。
【意匠登録が認められる条件】
[新規性]
今までにない新しい意匠であること。
[創作非容易性]
公知の意匠と比べて創作性が低い意匠でないこと。
[先願主義]
他人よりも早く出願していること。
[先願の一部と同一又は類似でないこと]
先願の一部に、自身の意匠と同一の意匠又は類似する意匠が含まれていないこと。
[一意匠一出願]
一つの出願に複数の意匠が含まれていないこと。
[書類上のきまり]
特許庁への願書が所定の様式で表されていること。
【意匠登録の効果】
[権利の存続期間]
平成19年4月1日以降の出願については、設定登録日から20年間。
平成19年3月31日以前の出願については、設定登録日から15年間。
[独占実施]
独占して実施できるということの中には、自ら実施するケース以外に、他人に実施させてその実施料を徴収したりすることも含みます。
[権利行使]
無断で自身の登録意匠を実施する者に対して、その実施の中止を申し入れたり(差止請求)、無断実施により被った損害の賠償を求めたりすることができます(損害賠償請求)。
【まとめ】
自身のデザインが、法上の意匠に該当するか、または意匠登録が認められるかどうか、まずは専門家に相談して頂きたいと思います。ご自身のデザインが法上の意匠に該当し、意匠登録が認められる可能性がある場合には、先願主義のもと、一日も早く特許庁に対して所定の手続きを行う必要があります。
ご相談
弁護士法人英明法律事務所(大阪市(天王寺・あべのハルカス)・岸和田市)では、
法律相談を受け付けています。
弁護士法人英明法律事務所・知財担当
〒545-6032
大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43
あべのハルカス32階
☎ 06-6625-6033
まで、お気軽にお問合せください。