【行政による裁判外紛争解決手続きの整備等】
行政ADRとは事業主と労働者との間の紛争を、裁判をせずに解決する手続きのことをいいます。派遣労働者の不合理な待遇差の是正のため、行政による履行確保措置および裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の整備がなされました。
[派遣元事業主、派遣先の自主的解決の努力義務]
労働者が、不合理な待遇差の是正を求める場合、最終的には裁判で争うことになりますが、実際に裁判に訴える場合には経済的負担を伴うことになります。
このため、今回の改正では、均等・均衡待遇を求める当事者が身近に無料で利用できるようにすることを目的として、裁判外紛争解決手続(行政ADR)が整備されました。
具体的には、不合理な待遇の禁止等や派遣元事業主による待遇に関する事項の説明に関し、派遣労働者から直接あるいは派遣先を通じて苦情の申し出があったときには、自主的な解決を図るべく努力義務が課されました。
・派遣遣元事業主が対象になる事項
□不合理な待遇の禁止等
□不合理な待遇の禁止等の適用を除外する労使協定
□雇い入れ時、派遣時、労働者から求めがあった際の説明
・派遣先事業主が対象になる事項
□教育訓練の実施
□福利厚生施設の利用
[都道府県労働局長による助言、指導、勧告または調停の手続きの法制化]
有期雇用労働者やパートタイム労働者と同じく、不合理な待遇の禁止等に関する事項について、派遣労働者と派遣元企業との間で紛争が生じた場合には、都道府県労働局長は、当事者の双方または一方の援助の申出により、必要な助言、指導又は勧告をすることができることになりました(改正派遣法47条の6)。また、都道府県労働局長は、調停の申請があった場合に紛争処理委員会に調停を行わせることができることになります(改正派遣法47条の7)。この調停については、有期雇用労働者やパートタイム労働者と基本的に同じ仕組みを取り入れた形です。
(まとめ)
派遣法の分野は改正のスピードが比較的早い分野です。したがって、改正の都度速やかに対応しておかなければ大幅に遅れをとってしまい、法律違反の状態を生み出してしまいます。法律違反の内容によっては、企業名の公表など重要な不利益を受けてしまいます。また、今回の改正は派遣会社内の同一労働同一賃金だけでなく、派遣先の会社との間でも同一労働同一賃金を要求するもので、これまでの派遣契約の見直しも求められています。社労士法人Real&Cloudでは派遣許可申請の代行を行っています。
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