【産業医制度とは】
産業医制度は事業場において、労働者の健康を保持するための措置、作業の管理、作業環境の維持管理、健康教育等および衛生教育に関することを行う者として、必要な能力を有する医師を選任し、労働者の健康管理を行わせる制度です。
厚生労働省:現行の産業医制度の概要等より
⑴ 情報提供義務
今回の改正で、産業医を選任した事業者は、産業医に対し、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理を適切に行うために必要な情報を提供しなければならないとされました。
提供する内容については、厚生労働省令で定められることとなっており、以下の項目が予定されています。
・労働安全衛生法66条の5第1項等による就業上の措置(健康診断の結果についての医師の意見を勘案した就業上の措置)の内容(措置を講じてない場合は、その旨およびその理由)
・1週間に40時間を超えて労働した場合におけるその超えた時間が1か月当たり80時間を超えた労働者の氏名および当該労働者のに係る超えた時間に関する情報
・労働者の業務に関する情報であって産業医または労働安全衛生法13条の2に規定する者が当該労働者の健康管理を行うために必要と認めるもの
⑵ 産業医からの勧告
産業医は、「労働者の健康を確保するために必要があると認められるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる」とされています。
これまでは事業者は、その勧告を尊重する必要はありましたが、勧告を受けて具体的な措置を取る義務について定めがありませんでした。今回の改正では、「厚生労働省令で定めるところにより、当該勧告の内容を衛生委員会または安全衛生委員会に報告しなければならない」とされました。
⑶ 産業医の職務内容の周知義務
事業者は、産業医の業務の内容を常時各作業場の見やすいところに掲示、または備え付けることとされました。
このうち、「産業医の業務に関する事項で厚生労働省令で定めるもの」とは
・産業医の業務
・産業医への健康相談の申出方法
・産業医の労働者の心身の状態に関する情報の取り扱い方法
が予定されています。
「常時各作業場の見やすいところに掲示、または備え付ける方法とは」
・常時各作業場の見やすいところに掲示、または備え付けること
・書面を労働者に交付すること
・磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録しかつ、各作業場の労働者
がその内容を常時確認できる機器を設置すること
との、就業規則の周知と同様の方法が予定されています。
このほか、事業者が産業医を解任したときまたは産業医が辞任したときは、その旨およびその理由を衛生委員会または安全衛生委員会に報告しなければならないことが厚生労働省令で定められる予定です。
産業医の活動環境の整備に係る事項として、事業者が産業医に与えなければならない産業医の具体的な権限についても厚生労働省令で例示されることとなっています。
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