【取引の分類】
消費税の納付税額を計算するにあたり、どの取引に消費税が課税され、どの取引に課税されないのかを判断しなければなりません。それを判断するには、消費税が課税される取引かどうかを、以下の順番に分類していくことになります。
課税されるのは、分類していったのち、第三段階の課税取引(6.3%)にたどり着いた取引です。
今回は、第三段階の免税取引についてみていきます。
【免税取引】
本来課税される取引であっても、国外での消費をもたらすものについては、「消費地課税主義」及び「国際競争力の低下防止」の観点から免税する規定が設けられています。
《消費地課税主義とは》
国内において消費される商品やサービスについて税負担を求めることを「消費地課税主義」といいます。日本で消費されるものは、日本の消費税を課税していきましょう。というものです。したがって、日本の消費税を輸出先である国外(法施行地外)に居住する者に負担させることを防ぐため、法施行地外で消費される輸出取引等については、消費税を免除しています。
《国際競争力の低下とは》
輸出されるものに対して消費税を課税すると、国際市場における競争力の低下を招くことから、輸出取引等については消費税を免除し、これを防いでいます。
輸出免税等の条文を見ていきましょう。消費税法7条1項には、
「事業者が国内において行う課税資産の譲渡等※のうち、輸出取引等に該当するものについては、消費税を免除する。」
※上記の「課税資産の譲渡等」からは「特定資産の譲渡等」を除く。
と規定されています。ここでいう輸出取引等とは、以下のものを意味します。
輸出取引等
①本邦からの輸出として行われる資産の譲渡、貸付
②外国貨物の譲渡、貸付(①を除く)
③国内及び国外にわたって行われる旅客、貨物の輸送、通信
④専ら③の輸送のように供される船舶又は航空機の譲渡、貸付、修理で船舶運航事業者等に対するもの
⑤①~④の資産の譲渡等に類するもの
第二段階をクリアしたもの(課税資産の譲渡等)のうち、上記の輸出取引等に該当するものは、免税取引(0%取引)となり、消費税は課税されません。不課税取引、非課税取引、免税取引にも当てはまらなかったものに消費税が課されます。
例をみてみましょう。
①法人が従業員に絵画を贈与した。
②法人が国内にある土地を譲渡した。
③法人が商品(非課税とされるものではない)を国外の得意先に輸出販売した。
④法人が商品(非課税とされるものではない)を国内の得意先に販売した。
上記①~④は国内取引の要件は満たしているものとする。
①贈与のため「対価を得て」に該当しない。課税の対象の4要件を満たさない⇒不課税取引となる。
②国内において、事業者が事業として、対価を得て行う、資産の譲渡に該当する(4要件を満たす)ので第一段階クリア。「土地の譲渡」は非課税取引に該当する⇒非課税取引となる。
③国内において、事業者が事業として、対価を得て行う、資産の譲渡であるので、第一段階クリア。非課税取引にも該当しない。輸出取引等に該当する。⇒免税取引となる。
④課税の対象の4要件を満たす(課税の対象となる)⇒非課税取引に該当しない(課税資産の譲渡等に該当)⇒輸出取引等に該当しない⇒課税取引(6.3%取引)となる。
【まとめ】
今回は、免税取引についてみていきました。課税の対象の4要件、非課税取引の15項目、輸出取引等の範囲をしっかり押さえておきましょう。そうすれば、不課税取引、非課税取引、免税取引、課税取引を区分することができます。
税理士法人Real&cloud(大阪市(天王寺・あべのハルカス))では、税務相談を受け付けています。
税理士法人Real&Cloud
〒545-6032
大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43
あべのハルカス32階
☎06-6625-0099
まで、お気軽にお問合せください。