【免税事業者とは】
小規模事業者の納税事務負担や税務執行面への配慮から、一定の事業規模以下の小規模事業者については、国内取引の納税義務を免除しています(輸入取引については、納税義務の免除の規定はありません。)。納税義務の免除を受ける者を「免税事業者」といい、免税事業者は、課税売上げとなる取引を行っても消費税は預からないこととなっています。ここでは、どのような事業者が免税事業者に該当するのかをみていきます。
【小規模事業者に係る納税義務の免除】
消費税法9条1項に下記の規定があります。
つまり、基準期間における課税売上高が1000万円を超えれば、納税義務があり、1000万円以下であれば、納税義務が免除されます(免税事業者となる。)。
では、ここでいう「基準期間」とは何を意味するのでしょうか。
《基準期間》
基準期間とは、以下のことを意味します。
①個人事業者
②法人
その事業年度の前々事業年度 (前々事業年度が1年未満の場合についてはこの記事では省略します。)
この「基準期間」における課税売上高が1000万円を超えるかどうかで、課税事業者か免税事業者か判断します。
次に「基準期間における課税売上高」の計算方法についてみていきましょう。
《個人事業者・基準期間が1年である法人》
基準期間における課税売上高=課税売上高(税抜)- 課税売上返還等(税抜)
①課税売上高(税抜)
課税売上高(税抜)=国内課税売上高(税込)×100/108 + 免税売上高
②課税売上返還等(税抜)
課税売上返還等(税抜)
=課税売上返還等(税込)- 国内課税売上返還等(税込)×6.3/108×80/63
その課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円を超えれば、消費税の課税事業者となります。越えなかった場合は、免税事業者と判断してもよいかというと、そうではありません。特定期間における課税売上高が1000万円を超えるか否かも判断する必要があります。
《特定期間における課税売上高》
その課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円以下であっても、特定期間における課税売上高が1000万円を超えた事業者は消費税の課税事業者となります。ここでいう、「特定期間」とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間をいいます。なお、特定期間における1000万円の判定は課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。特定期間における課税売上高又は給与等支払額により判定をし、1000万円を超えれば、課税事業者となります。
法人の場合はさらに、次の点もチェックしなければなりません。
《期首資本金等の金額判定》
その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1000万円以上である法人は、その課税期間の納税義務は免除されません。(消費税の新設法人に該当)
【まとめ】
まず、基準期間における課税売上高が1000万円超か否かを判定し、1000万円以下であれば、特定期間における課税売上高が1000万円を超えるかどうかを判定します。個人事業者の場合は、そこで1000万円以下であれば免税事業者になります。法人は基準期間がない事業年度における期首資本金等が1000万円未満であれば、免税事業者になります。
上記に書いた他にも、調整対象固定資産を仕入れた場合、相続、合併、分割の場合、特定新規設立法人に該当する場合、高額特定資産を仕入れた場合などは、納税義務の判定をさらにしなければなりません。課税事業者か免税事業者かを判定するのは、なかなか複雑な仕組みになっています。そのような場合は、税理士に相談することをオススメいたします。
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