【労働者派遣事業の意義等②】
労働者派遣事業の意義について①労働者派遣②派遣労働者③労働者派遣事業④紹介予定派遣⑤法の適用範囲、の5つの観点から解説していきます。今回は②~⑤の事項について述べています。
【派遣労働者】
派遣労働者とは、「事業主が雇用する労働者であって、労働者派遣の対象となるもの」をいいます。(法第2条第2号)。
・「事業主が雇用する労働者」の意義
派遣労働者は、事業主が現に雇用している状態にある者である。したがって、いわゆる登録型の労働者派遣事業(3の(4)参照)において登録されているだけで、当該事業主が雇用していない労働者は派遣労働者に該当しません。
なお、当該登録中の労働者についても、法第30 条、第30 条の4、第31 条の2及び第33 条において「派遣労働者として雇用しようとする者」として派遣労働者とは異なる規制の対象となります(第7の2の(1)、第7の5の(1)、第7の7の(1)及び第7の9の(1)参照)。
・「労働者派遣の対象」の意義
派遣労働者は、事業主が雇用する労働者のうち、労働者派遣の対象となる者である。この労働者派遣の対象とは、現に労働者派遣をされていると否とを問わず、労働者派遣をされる地位にある者のことをいいます。
労働者派遣の対象となるか否かの判断は、具体的には、労働協約、就業規則、労働契約等の定めを確認することにより行います。
なお、派遣労働者としての地位を取得させるためには、法第32 条の定めに従った手続が必要です(第7の8参照)。
【労働者派遣事業】
労働者派遣事業とは、「労働者派遣を業として行うこと」をいいます(法第2条第3号)。
・「業として行う」の意義
「業として行う」とは、一定の目的をもって同種の行為を反復継続的に遂行することをいい、1回限りの行為であったとしても反復継続の意思をもって行えば事業性があるが、形式的に繰り返し行われていたとしても、全て受動的、偶発的行為が継続した結果であって反復継続の意思をもって行われていなければ、事業性は認められません。
【紹介予定派遣】
紹介予定派遣とは、法第5条第1項の許可を受けた派遣元事業主が、労働者派遣の役務の提供の開始前又は開始後に、当該労働者派遣に係る派遣労働者及び派遣先に対して、職業安定法その他の法律の規定による許可を受けて、又は届出をして、職業紹介を行い、又は行うことを予定してするものをいい、当該職業紹介により、当該派遣労働者が当該派遣先に雇用される旨が、当該労働者派遣の役務の提供の終了前に当該派遣労働者と当該派遣先との間で約されるものを含みます(法第2条第4号)。紹介予定派遣については、派遣先が派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止に係る規定を適用しません(法第26 条第6項)
【法の適用範囲】
原則、「船員」を除き、公務員も含めたあらゆる労働者、あら
ゆる事業に適用されます。
船員について法が適用除外されるとは、船員である者を派遣労働者として船員の業務以外の業務に就かせること及び船員以外の者を船員の業務に就かせることの双方について法の規定が適用されないという意味です。例えば船員以外の者が要件に該当した派遣先である「船舶」内で就業する限りにおいて、派遣労働者は船員に該当することとなり、法の適用は受けません。
(まとめ)
労働者派遣法の適用範囲については、労働者派遣の形態によって適用される者と適用されない者があります。意義を理解した上で、間違った派遣事業を行わないよう取り組む必要があります。社労士法人Real&Cloudでは派遣業許可申請の代行手続きを行っています。
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