【派遣労働者に対する待遇に関する説明義務】
これまで、パートタイム労働者と派遣労働者においては、賃金、福利厚生、教育訓練などの待遇内容に関して説明責任が課されていました。改正後は、有期雇用労働者にも本人の待遇内容および待遇決定に際しての考慮事項に関する説明義務が創設されます。また、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、事業主に正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等の説明を求めた場合に、説明義務が創設されました。この説明を求めたことによる不利益な取り扱いは禁じられます。
[改正ポイント1 派遣先事業者に対する、派遣先労働者の賃金等の待遇に関する情報を派遣元事業者に提供する義務]
派遣先事業者に対し、派遣先労働者の賃金等の待遇に関する情報を派遣元事業者に提供する義務などの規定が設けられました。
具体的には、派遣先は、派遣元事業主に対し、労働者派遣契約を締結する場合、あらかじめ、派遣元事業主に対し、派遣労働者が従事する業務ごとに、「比較対象労働者(派遣先に雇用される通常の労働者)」の賃金その他の待遇に関する情報その他の厚生労働省令で定める情報を提供しなければならないこととされました。この情報提供を行わなければ、労働者派遣契約が締結できなくなりました。
[改正ポイント2 待遇に関する事項等の説明義務]
労働者に対する待遇に関する説明義務を強化するとともに、比較対象となる正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化しました。
派遣元事業主は、派遣労働者を雇用する際には、以下⑴の事項について、文書の交付等の方法で明示するとともに、⑵の措置について説明を行うことが規定されました。
⑴ 労働条件に関する事項のうち、労働基準法15条1項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるもの
⑵ 労働者派遣法30条の3、30条の4第1項(不合理な待遇の禁止等)、30条の5(職務の内容等を勘案した賃金の決定)の規定に基づいて講じた措置の内容
(まとめ)
現行法では、31条の2第2項で派遣労働者から求めがあった場合に関する説明義務を課していますが、改正法では、有期雇用労働者やパートタイム労働者と同じく、説明を求めた派遣労働者と比較対象労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに派遣元事業主が講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項を説明しなければなりません(改正派遣法31条の2第4項)。
この説明に関しては、雇入時や派遣時の説明義務と異なり、必ずしも書面によることは求められていませんが、具体的な違いの中身(具体的にどの程度の格差が存在しているのか)、その理由(どうしてその違いが生じているのか、企業がその違いを設けている理由)を説明しなければなりません。
これらの法改正を踏まえて、適正な労働者派遣を行っていく必要がありますので、厚生労働省のホームページなどで十分確認しておく必要があります。
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