今回は、法人税で注意すべき未払社会保険料の損金算入時期について紹介します。元税務調査官のひとり言についても掲載しました。
〇法人税・・・未払社会保険料の損金算入について
① 決算日が月末の法人のケース
( 例 )平成29年3月31日が事業年度末日の法人の場合は、会社が負担すべき社会保険料の平成29年3月分で翌月に支払うべき
社会保険料について、未払計上することによって、当該事業年度に損金算入できます。
(理由)法人が負担する社会保険料の額については、当該保険料の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度において
損金の額に算入することができます。 ★参照・・・法人税基本通達9-3-2
② 決算日が月末でない法人のケース
( 例 )平成29年3月20日が事業年度末日の法人の場合は、会社が負担すべき社会保険料の平成29年3月で翌月に支払うべき社会
保険料について、日数按分(3月1日~3月20日)しても未払計上による損金算入はできません。
(理由)法人の負担する各月の社会保険料の支払債務は当該月の末日における従業員の在職の事実をもって確定することになり
平成29年3月分の社会保険料の支払債務が確定するのは3月の末日となりますから、日数按分(3月1日~3月20日)しても
損金算入はできません。
ちなみに・・・
被保険者の従業員が月の中途で退職した場合には、月の中途で退職した者に係る社会保険料は納付する義務はありません。
③ 未払賞与に係る未払社会保険料について
( 例 )平成29年3月31日が事業年度末の法人で、損金要件を満たしている未払賞与に係る会社が負担すべき社会保険料を
未払計上しても損金算入はできません。
(理由)賞与に対する社会保険料の支払債務が確定するのは、賞与を支払った日の属する月末ですので
未払計上で損金算入はできません。
★参照・・・法人税法第22条第3項第2号
〇元税務調査官のひとり言・・・反面調査と連携調査
反面調査とは・・・
事実確認で、調査先のみでは困難な場合は、取引先や銀行に臨場して解明を行う調査です。取引先に反面調査が実施された場合、
取引先に迷惑をかけるとともに、信用にも影響が及ぶケースがあります。
連携調査とは・・・
同族会社のある会社の税務調査や取引関係の解明が困難とされる会社の調査について、関係会社とともに同時期もしくは直前直後に
税務調査を行い、調査担当者同士で互いに情報を共有することによって、調査効率を高めて全容解明を行うことを目的とした調査です。
そのほか、税理士法人Real&cloud(大阪市(天王寺・あべのハルカス))では、税務相談を受け付けています。
税理士法人Real&Cloud
〒545-6032
大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43
あべのハルカス32階
☎06-6625-0099
まで、お気軽にお問合せください。
【元税務調査官前原税理士監修ブログ】
前原 貴之(まえはら たかゆき)
1967年生まれ。税理士。主に大阪市内及び兵庫県内の税務署法人課税部門で600社以上の法人の税務調査を担当し、印紙税調査等の広域指導も担当。2010年7月に姫路税務署法人課税部門の上席国税調査官を最後に退官し、民間企業での経理事務の経験するとともに税理士法人で税理士業務を経験後、R&Cグループに入社。税理士元国税調査官の経歴を活かしながら税理士として活動するとともに、助成金、労務に強い社労士と連携して、ワンストップサービスに心掛けている。