このページでは、特定技能外国人について、探し方・雇用の流れ、特定技能外国人の種別、特定技能と技能実習の違いについて解説いたします。
特定技能外国人への登録支援機関については以下のページで解説しています。
特定技能外国人について
特定技能外国人とは(創設の背景)
近年の生産年齢人口(15歳以上65歳未満の働くことができる年齢の者)の減少により、特定の産業分野(建設業、宿泊業、介護、農業等)では生産性の向上や国内人材の確保のための取り組みを行ってもなお、その分野の存続が危ぶまれている事態に直面しています。
職業別有効求人倍率を見てもその傾向は顕著で、特に介護、建設、外食といった業界では、もはや外国人材なしでは立ちいかない状況にまでなってきています。
そこで、AIの活用や女性・高齢者の活躍など生産性の向上や国内人材の確保の取組みを行ってもなお存続のために外国人材が必要と認められる産業分野に限り、一定の専門性・技能を有している即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することが求められました。
このような状況において新たに創設されたのが「特定技能資格」です。
この資格は2019年4月より導入された在留資格です。
外国人の就労が解禁される業種
日本国内において人手不足が深刻化する以下の14の業種で、外国人の就労が解禁されます。
建設業造船・舶用工業自動車整備業航空業宿泊業介護ビルクリーニング農業漁業飲食料品製造業外食業素形材産業産業機械製造業電気電子情報関連産業
上記の14業種の仕事は、単純労働を含むことから、これまでは外国人の雇用が難しい状況でした。
上記14の業種は「相当程度の知識又は経験を必要とする技術」と認められる業務に従事する「特定技能1号」です。「特定技能2号」は建設業、造船・舶用工業の2つの業種で家族滞在や在留期間更新が可能な在留資格です。
※中国・モンゴル・ベトナム・カンボジア・タイ・ミャンマー・ネパール・インドネシア・フィリピンの9か国で技能水準、日本語試験は実施。
上記以外の業種において特定技能外国人を雇うことは不可能です。
例えばコンビニで特定技能外国人を雇うことはできません。まずは、会社が上記業種に該当しているかの確認が必要となります。
特定技能外国人の探し方から雇用までの具体的な流れ
海外にいる外国人を雇用する流れ
- 特定技能で雇用できる海外にいる外国人を探す。
- 面接などをおこない、採用が内定したら「特定技能雇用契約」を結ぶ。
- 「第1号特定技能外国人支援計画」を策定する。
- 出入国在留管理庁へ、採用する外国人の「特定技能」の在留資格を申請する。
- 外国人が日本に入国後、支援計画に基づいて支援をおこなう。
- 雇用開始する。
- 業界の協議会の構成員となる。
- 協議会とは
- 特定技能外国人を雇用する場合、厚生労働省、経済産業省、農林水産省が組織する各業界の協議会の構成員になる必要がある。
- 海外にいる外国人とは
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海外にいる外国人が日本で働くためには「特定技能」という在留資格を取得しなければならない。
海外にいる外国人で「特定技能」の在留資格を取得できるのは「18歳以上」で、かつ「技能実習2号修了者」と「技能試験及び日本語試験合格者」のどちらかになる。
技能実習2号を修了し帰国した外国人や日本語学校で日本語を勉強している学生等が対象になると思われる。
- 技能実習2号修了者
- 技能実習2号を修了して帰国した外国人は特定技能の在留資格申請が可能。技能実習2号を修了している場合、技能評価試験や日本語試験は免除される。
- 特定技能評価試験合格者
- 特定技能評価試験(技能試験と日本語試験)に合格することで特定技能の申請が可能になる。
海外にいる外国人の求人方法
海外にいる外国人を求人する場合として以下の方法が考えられます。
- 自社ホームページでの求人
- 職業紹介事業者
日本人の求人と同じように、外国人の労働者も職業紹介事業者から紹介してもらうというケースも今後一般的になることが予想されます。現在日本人の職業紹介をされている会社で外国人の職業紹介も行うという会社も増えてくることが予想されます。
また、海外の技能実習生の送り出し機関が日本に法人を設立し職業紹介事業を行うというケースも考えられます。さらに、海外の日本語学校が日本に人材紹介の法人を作ることも考えられます。
このように、従来人材紹介事業に参入していなかった業種の方々が新規で外国人材紹介事業に参入すると、国ごとの専門業者や業種ごとの専門業者など、外国人専門で特化した職業紹介事業者が増えてくることが予想されます。
- 登録支援機関
- 当法人のように特定技能外国人を支援するための「登録支援機関」が職業紹介事業も行っている場合は、登録支援機関から特定技能外国人を紹介してもらうケースも考えられます。
- 特定技能雇用契約の締結
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特定技能で雇用できる外国人がみつかった場合、対面又はWEBなどで採用面接を行います。採用が内定したら、次に雇用契約を結びます。
特定技能の在留資格を持つ外国人と雇用する会社との雇用契約を「特定技能雇用契約」といいます。特定技能雇用契約では、従事する業務や労働時間、報酬額などを決める必要があります。報酬額は「日本人と同等以上」でなければいけません。
- 1号特定技能外国人支援計画の策定
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1号特定技能外国人を雇用する場合には、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援をおこなう必要があります。具体的には入国前の情報提供や住宅の確保等の支援ですが、詳しくは「1号特定技能外国人支援計画とは」で説明します。
自社での支援計画策定・実施が困難な場合には、支援計画策定・実施を登録支援機関に委託することもできます。
- 在留資格認定証明書交付申請
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特定技能雇用契約を締結し、支援計画等の必要な準備が整えば、出入国在留管理庁へ在留資格認定書交付申請を行います。在留資格認定証明書交付申請は受入機関の職員や地方局長に申請取次者として承認を受けた行政書士などが行います。
特定技能の在留資格認定証明書交付申請をおこなうためには、外国人本人は以下の要件充足が必要になります。
・18歳以上であること
・技能試験及び日本語試験に合格していること(技能実習2号を修了した外国人は免除)
・特定技能1号で通算5年以上在留していないこと
・保証金を徴収されていないこと又は違約金を定める契約を締結していないこと
・自らが負担する費用がある場合、内容を十分に理解していること詳しくは「特定技能1号とは」で説明します。
- 在留資格認定証明書
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「特定技能」の在留資格認定証明書が交付されれば、受取機関職員が出入国在留管理庁に在留資格認定証明書を受け取りに行きます。この時点で特定技能の在留資格が取得できたわけではないので注意が必要です。
まず、受け取った在留資格認定証明書を海外にいる外国人に送付します。海外にいる外国人が在留資格認定証明書を受け取れば、在外公館(その国の日本大使館又は総領事館等)に査証(ビザ)の申請をします。在外公館から査証(ビザ)が発行されれば、海外にいる外国人は日本に入国します。
査証(ビザ)は入国審査(上陸審査)のために必要なものですので、入国審査の後はビザは無効になります。代わって、入国審査時に与えられた「在留資格」が、入国後の日本在留根拠となります。
- 在留カード
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在留カードは日本に住む外国人が常時携帯する必要がある身分証明書です。入国審査官、入国警備官、警察官等から提示を求められた場合には、提示する必要があります。
在留カードを携帯していなかった場合は20万円以下の罰金、提示に応じなかった場合は1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられることがあります。在留カードは外国人が日本で生活する上で特に重要なものです。
- 外国人が入国後に実施すること
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外国人が日本に入国後、支援計画に基づき以下の支援が行われなければいけません。
・受入機関等が実施する生活オリエンテーションの受講
・住居地の市区町村等にて住民登録
・住宅の確保など。
- 特定技能外国人の雇用開始
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入国後の支援が終了したところで、特定技能外国人を雇用します。
雇用後は、報酬を適切に支払うなど外国人と結んだ雇用契約を確実に履行することや外国人への支援の適切な実施、出入国在留管理庁への各種届出などを遵守しなければいけません。
これらを怠ると外国人を受け入れられなくなるほか、出入国在留管理庁から指導や改善命令等を受けることがあります。
まとめ
海外の外国人を雇用することができるようになると、優秀な人材確保のためには、給料面だけではなく、職場環境や労働条件、外国人支援体制なども充実させる必要が出てきます。
日本国内にいる外国人を雇用する流れ
- 特定技能で雇用できる国内にいる外国人を探す。
- 面接などをおこない、採用が内定したら「特定技能雇用契約」を結ぶ
- 「1号特定技能外国人支援計画」を策定する
- 出入国在留管理庁へ、採用する外国人の現在の在留資格から「特定技能」へ変更申請する。
- 入社前の支援計画に基づいて支援をおこなう。
- 雇用開始する
- 業界の協議会の構成員となる
- 国内にいる外国人とは
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日本国内にいる外国人はなんらかの「在留資格」をもっています。日本国内に住んでいる外国人を特定技能で雇用するには、その外国人の在留資格を「特定技能」に変更する必要があります。
以下で、在留資格を「特定技能」に変更できる可能性のある外国人とは、どのような在留資格をもった外国人なのか、また、どのような場合に特定技能に変更できないのか見ていきます。
- 技能実習2号修了者
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技能実習2号を修了している外国人は特定技能へ変更が可能です。技能実習2号を修了している場合には、技能評価試験や日本語試験は免除されます。
技能実習2号を修了していない場合は、技能評価試験や日本語試験に合格する必要がありますが、在留資格「技能実習」で実習中の外国人は、国内で実施する技能評価試験を受けることはできません。また、失踪した技能実習生も国内で実施する技能評価試験を受験することはできません。
- 特定技能評価試験合格者
- 日本国内の学校を卒業した留学生等は特定技能評価試験(技能評価試験と日本語試験)に合格することで特定技能への変更が可能になります。ただし、退学・除籍処分となった留学生は国内で実施される技能評価試験を受験することはできませんので、特定技能への変更はできません。
- 特定技能外国人
- 特定技能ですでに働いている外国人は同じ分野であれば転職することができます。
- 特定技能への変更ができない外国人
- ・退学・除籍処分となった留学生
・失踪した技能実習生
・在留資格「特定活動(難民認定申請)」により在留する者
・在留資格「技能実習」による実習中の者
日本国内にいる外国人の求人方法
日本国内にいる外国人を求人する方法としては以下の方法が考えられます。
- 自社ホームページでの求人
- 特定技能の大きな特徴として「転職ができる」という点があります。例として外食業の特定技能の在留資格を持つ外国人の場合、同じ外食業であれば、外国人本人が企業のホームページの求人情報をみて就職を申し込むというケースも増えてくることが予想されます。
- ハローワーク
- 日本にいる外国人はハローワークを通じて特定技能の雇用先を探すことができます。
- 職業紹介事業者
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日本人の求人と同じように、外国人の労働者も職業紹介事業者から紹介してもらうというケースも増えてくることが予想されます。現在日本人の職業紹介をされている会社で外国人の職業紹介も行うという会社も当然増えていくでしょう。また、海外の技能実習生の送出し機関が日本に法人を設立して職業紹介事業をおこなうというケースも増えてくるでしょう。
そうなると、国ごとの専門業者や業種ごとの専門業者など、外国人専門でさらに特化した職業紹介事業者も増えてくることが予想されます。
- 登録支援機関
- 当法人のように、特定技能外国人を支援するための「登録支援機関」が紹介事業も行っている場合は、登録支援機関から特定技能外国人を紹介してもらうケースも増えてくると思います。また、職業紹介事業者と同様に海外の送り出し機関が日本に法人を設立して、職業紹介以外にも登録支援機関にもなるというケースがあると思います。
第1号特定技能外国人・第2号特定技能外国人の種別
特定技能の在留資格には『特定技能1号』『特定技能2号』の2種類があります。
『特定技能1号』は、特定産業分野において、相当程度の知識または経験を持つ外国人に向けた在留資格です。特別な育成や訓練を受けることなく、すぐに一定の業務をこなせる水準であることが求められます。
そのため海外に住む外国人が特定技能1号の在留資格で来日するには、日本語スキルに加え、仕事に関する知識・経験に関しての試験に合格することが必要となります。
特定技能1号は、就労ビザのひとつなので理論上は出身国の国籍を問わず取得することが可能(イランやトルコ等の一部の国籍を有する外国人については付与の除外対象)ですが、現状、特定技能評価試験の実施国は限られています。
現在、特定技能の二国間協定を締結している国は、フィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴルの5ヶ国です。今後、ベトナム、インドネシア、タイ、中国の4ヶ国が追加される予定です。しかし実質的には、この9ヶ国の出身者が中心となっていくことが予想されます。
『特定技能2号』は基本的に、特定技能1号の修了者が望んだ場合、次のステップとして用意されている在留資格です。しかし、現状ではどの業種でも許可された実績は無く、2021年度に建設業と造船・舶用工業の2業種にて試験をスタートする予定となっています。
主な違いは以下のようなものです。
- 第1号⇒在留期間は最長5年で更新はできません。
- 第2号⇒在留期間に制限はなく、更新もできます。また、家族の帯同も可能です。
※技能実習2号を良好に修了しており、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合には、技能水準について試験その他の評価方法による証明は必要ない。「技能実習2号を修了したもの」については、技能実習法施行前の技能実習2号を修了したものや、在留資格「技能実習」が創設される前の「特定活動」を持って在留していた技能実習生(※)も含まれる。
※「研修」および「特定活動」で在留した期間が2年10カ月を超えている者に限られる。
特定技能と技能実習の違い
特定技能と技能実習は、名前が似ていることに加え、ともに1号・2号の区分があることから、同じような在留資格だと思われている方も少なくないかと思います。
しかし、特定技能と技能実習は、目的や認められる活動が全く異なる在留資格だと言っても過言ではありません。
- 技能実習
- 外国人の方に日本の技術を学んでいただき、母国に持ち帰ることで経済発展に役立てていただく国際貢献を主な目的としています。そのため、技能実習法第3条第2項には、「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。」と記載されており単純労働(コンビニ等でのレジ打ち等)は行えません。
- 特定技能
- 外国人の方を労働者として受け入れる在留資格です。人材不足の産業に戦力となる人材を提供することが目的なので、広い範囲の労働を行なうことができます。
技能実習から特定技能への移行
外国人の方が、特定技能の在留資格を取得する方法は「特定技能評価試験に合格する」もしくは「技能実習2号を修了する」の2パターンとなります。
しかし、技能実習の対象となる職種および作業と、特定技能の対象となる職種および作業が一致していないことから、技能実習のなかでも特定技能への移行対象職種として認められていないものもあります。