税理士/前原 貴之
今回は、印紙税で誤りの多い注文書の取り扱いについて紹介します。元税務調査官のひとり言についても掲載しました。
〇 印紙税・・・注文書の注意点
仕事を発注する際に交付する注文書について、原則は契約書に該当しませんが、申込書等(申込書、注文書、依頼書等)と表示された文書であっても、相手方の申込みに対する承諾事実を証明する目的で作成されるものは、契約書に該当しますので、工事請負契約書など課税文書に該当する場合は、印紙税が課税されます。
注文書が契約書になるケース
- 契約当事者の間の基本契約書、規約又は約款等に基づく申込みであることが記載されていて、一方の申込みにより自動的に契約が成立することとなっている場合における当該申込書等(申込書、注文書、依頼書等)。ただし、契約の相手方当事者が別に請書等契約の成立を証明する文書を作成することが記載されているものは除きます。
- 見積書その他の契約の相手方当事者の作成した文書等に基づく申込みであることが記載されている当該申込書等(申込書、注文書、依頼書等)。
ただし、契約の相手方当事者が別に請書等契約の成立を証明する文書を作成することが記載されているものは除きます。 - 契約書当事者双方の署名又は押印があるもの
参照・・・印紙税法基本通達第21条
〇 元税務調査官のひとり言・・・すでに税務調査は行われている!?
税務署の調査官は税務調査を効率よく実施するために、事前に内偵調査や外観調査を行う場合があります。
内偵調査とは・・・
飲食店や小売店などの不特定の者に主に現金で販売する店には、税務調査を実施する前に調査官が客を装って行う調査です。確認項目として、レジ管理がされている場合はレジ打ちの有無、客数、客単価、従業員数です。
内偵調査で確認した事項について、調査官は次のとおり税務調査で確認します。
- 内偵調査で支払った金額が、売上に計上されているか。
- 内偵調査時で確認した客単価客数から想定した売上と比べて売上計上額は適正であるか。
- 内偵調査時で確認した従業員数に比べて人件費計上は適正であるか。
*飲食店や小売店などの現金商売の場合、帳簿調査だけでは売上計上が適正であるかを確認するのが困難のため、内偵調査が重要になります。
外観調査とは・・・
社長の自宅や会社事務所等、土地を保有している場合は土地の使用状況を確認する調査です。
外観調査では、社長が収入に比べて豪華な自宅に住んでいないか、高級車を保有していないかを確認するとともに、申告している業種以外に副業をしていないかを確認します。
税理士法人Real&cloud(大阪市(天王寺・あべのハルカス))では、税務相談を受け付けています。
税理士法人Real&Cloud
〒545-6032
大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43
あべのハルカス32階
☎06-6625-0099
まで、お気軽にお問合せください。
前原 貴之(まえはら たかゆき)
1967年生まれ。税理士。主に大阪市内及び兵庫県内の税務署法人課税部門で600社以上の法人の税務調査を担当し、印紙税調査等の広域指導も担当。2010年7月に姫路税務署法人課税部門の上席国税調査官を最後に退官し、民間企業での経理事務の経験するとともに税理士法人で税理士業務を経験後、Real&Cloudグループに入社。税理士元国税調査官の経歴を活かしながら税理士として活動するとともに、助成金、労務に強い社労士と連携して、ワンストップサービスに心掛けている。
この記事へのコメントはありません。